えいちゃん(さかい きよたか)

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オンデマンドで小津安二郎監督の『秋刀魚の味』を見た。『秋刀魚の味』は『東京物語』と同じぐらいぼくは惹かれて何度も見てきた。

『秋刀魚の味』は『晩春』、『麦秋』、『東京物語』のような父と娘の物語の原点に戻ろうとした物語ではないか? 『東京物語』の後、小津はいろんな新しい試みをしているけれど、それらの新しさを封印して、カラーの映画で原点に戻ろうとした。

『秋刀魚の味』では小津映画の常連の俳優が総出演して、揃い踏みしているようなところがある。違うところがあるとするならば、ヒロインでの登場人物としての原節子がいないこと。原節子が一人で担っていた陽と陰、その他のの魅力を当時の松竹映画の新進の岩下志麻、岡田茉莉子、岸田今日子の三人で微妙に役割分担しているかのようだ。

もう一つとして、前景化せずとも強い基調音として「軍艦マーチ」が常に流れていることだと思う。主人公の父がレコードでかかる「軍艦マーチ」を初めて聞くときの笑っているのに何か恥だと思い、躊躇し、心のどこかで泣きべそをかいているかのような笠智衆の表情が素晴らしい。そして、主人公の父がラスト近くのバーでのシーンで「軍艦マーチ」を聞きながらされる隣の酔客の会話はまったく残酷で、人生の意味のすべてを再び打ち砕くかのようだ。

『秋刀魚の味』は小津調の父と娘の別れの話であるとともに、一つの戦争のシーンもなくとも決して語られなかった戦争について、三度も従軍した小津の忘れえぬ悔恨がにじみ出てもいる名画だ。『秋刀魚の味』を見るたびに、この映画は新しい何かをぼくに語りかけるかのようなのだ。

昭和三十七年、小津映画のこれが最期の作品となった。お見事。

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歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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