えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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三宅唱監督の『旅と日々』を見ました。原作はつげ義春さんの漫画「海浜の叙景」と「ほんやら洞のべんさん」でこの二本の漫画を大胆に接続している。ミニマルでストーリーの起伏も小さく、だからなのか、「海浜の叙景」の漁師町と「ほんやら洞のべんさん」の雪深い山の景色が美しい。

河合優実さんの演ずる「海浜の叙景」の締めくくりはなんとも感じがいい。シム・ウンギョンさんの演ずる脚本家の李のやうに、ぼくも若いころ、行き先も泊まるところも決めず、旅をしたことが何度もあって、そのことを思い出してしまいます。その思い出もはるか昔のことになって、『旅と日々』は新しくも、懐かしくも感じるのです。三宅唱監督でつげ義春さんの原作による映画をあと何本か見てみたく思った。

帰ったらつげ義春さんの漫画が読みたくなり、本棚の山の中を探して、読んでしまった。つげさんの漫画はやっぱいいなあ。

こんな旅がまたしたくなります。

映画『旅と日々』公式サイト
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この前、丹沢ヤドリキY.G.L.スポーツフィシングエリアでフライフィッシングをしていると、後ろの方で何がしかの気配がして、ふと振り向くと、さっきまで毛鉤を投げて、釣りをしていたそのところで、三頭の大きな鹿が川を渡るところだった。野生の威厳を感じ、神の使いが目の前に現れたかのようでもあって、とても驚きました。そこで一句。

 楓映え神がかり鹿川渡り

(鹿の写真は撮れませんでした。)
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澁澤龍彦の著した『三島由紀夫おぼえがき』を読みました。三島由紀夫に関する文章が二十三篇、三島由紀夫との対談が二篇、出口裕弘との対談が一篇。眠れない秋の夜、ほぼ一気読みです。

今年は三島由紀夫生誕百周年にあたり、もっと狂騒的なブームとなるかと思っていたが、そのようなことはなかった。寂しくもあり、ほっと胸をなでおろしてもいます。三島由紀夫の愛国を受け継ぐ右翼団体を一水会ぐらいしかぼくは知らない。三島由紀夫、死して五十五年、月日は経った。集団的自衛権による海外への自衛隊の出動が将来、あって、死して若者がもどってくれば、三島由紀夫は身悶えし、怒り狂うのではないかしら。自衛隊はアメリカの傭兵であっていいのか? 建軍の精神とは何だ? 天皇陛下が海外での自衛隊の若者の死を望んでおられるとでもいうのか? そのような三島由紀夫の声すら聞こえる気がします。そのような声が想像の中で聞こえつつも、その観念による死に一人の若い人を道連れにし、死にいたらしめたということにおいて、ぼくは三島由紀夫を許すことはできないのだけれど。

さて、ぼくは、三島由紀夫の死に関しては、岸田秀の「三島由紀夫論」と『三島由紀夫おぼえがき』の中のいくつかの文章が、もっとも説得的であるように思われる。この本の出口裕弘との対談で三島由紀夫の最後の長編である『豊饒の海』が論ぜられているのだけれど、そこで澁澤龍彦は一巻目の「春の雪」と二巻目の「奔馬」を傑作とし、三巻目の「暁の寺」を衰滅と批評し、四巻目の「天人五衰」を破綻と断じていて、その「天人五衰」の驚くべき終章と同じことが、三島由紀夫の人生にも起きていたのではないかと推測している。夢の中のように生きて、かろうじて生をたもってきた三島由紀夫に、初めて現実の奔流が押し寄せてきたのではないか、と澁澤龍彦は言っている。そこは何もない月の裏側の豊饒の海のごとくの干からびた虚無であろう。『豊饒の海』ほど恐ろしくも美しい、その両方の備わった小説をぼくは知らないのです。

三島由紀夫おぼえがき -澁澤龍彦 著
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十一月五日、新宿末廣亭にて令和七年十一月上席昼の部です。見た演目を書き出してみます。前座の神田紫天くんの講談「仙台の鬼夫婦」、二つ目の桂小右治くんの新作「ぜんざい公社」、昔昔亭A太郎師匠の新作「罪と罰」、おせつときょうたのお二人の漫才、古今亭今輔師匠の新作「釣りの酒」、立川談四楼師匠の「熊の皮」、瞳ナナさんの奇術、瀧川鯉朝師匠の「平林」、桂三若師匠の新作「妻の旅行」、宮田陽さんと宮田昇さんのお二人の漫才、桂幸丸師匠の新作「幸丸流吉田茂伝」、柳家蝠丸師匠の「義眼」でお仲入りです。瀧川鯉斗師匠の「強情灸」、ナオユキさんのスタンダップコメディー 、三遊亭遊雀師匠の「四段目」、三笑亭可龍師匠の「七段目」、ボンボンブラザースのお二人の曲芸 、主任は桂枝太郎師匠の「中村仲蔵」でした。

特に印象に残った演目です。立川談四楼師匠の「熊の皮」は江戸の正統の落とし噺にほれぼれとします。桂三若師匠の「妻の旅行」は、柳家はん治師匠の高座でよく聞いておりましたが、もともとは桂文枝師匠の噺で、上方の関西弁となるとこうなるのか、と感心いたしました。宮田陽さんと宮田昇さんの漫才で大爆笑。桂幸丸師匠の「幸丸流吉田茂伝」もよかった、よかった。瀧川鯉斗師匠の「強情灸」は意地っ張りの粋な江戸の風がさわやかに吹いておりました。ナオユキさんのスタンダップコメディーでクスクス笑いも楽しい。三遊亭遊雀師匠の「四段目」と三笑亭可龍師匠の「七段目」は、歌舞伎の芝居を題材とした滑稽噺でとても楽しゅう笑わせていただきました。そして、ついに、ボンボンブラザースのお二人の曲芸では、ぼくは帽子を投げるという大役を仰せつかったのでこざます。うまくできなかったけれどこれも楽しかった。主任の桂枝太郎師匠の「中村仲蔵」は、ついこの前、見た柳家さん喬師匠の「中村仲蔵」も思い出してしまいます。桂枝太郎師匠の「中村仲蔵」は初々しくも、緊張しているのがつたわってくるようでした。客席からは指先の動きすらよく見えるのでごさいます。芸の道は果てしなく長い、というのをエールとしてお送りしたい、と存じます。

暗いこの世のつらさ忘れ、寄席は心のオアシスです。
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洗車場で洗車をし、その足で亀ヶ池八幡宮にお参りしました。子どもさんたちと親御さんたちは七五三詣出をしておりました。御神籤をひくと「大吉」です。

「第一番 御神籤

 朝日かげ
 たゞさす庭の
 松が枝に
 千代よぶ鶴の
 こえののどけさ

 運勢 大吉」

ゆめゆめうたがふことなかれ
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屋形船の「あみ達」で浅草からお台場に向かう。いい風情でございました。楽しゅうございました。
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紅葉を愛でようと山梨の方までドライブの旅をしました。ぼくは、へたくそだけど車を運転するのが好きなのです。紅葉はまだまだでしたが、それも一期一会でもありましょう。

絶滅したとされていたクニマスが西湖に生息していることを知りました。ヒメマスも西湖にはいるらしく、今度、釣りに来たいなどと思ってしまいます。どうせ放してしまうけれど、一匹でも釣れればいいのでしょう。

大好きな精進湖に行きました。ボートで向こう岸に渡れるほど大きさがなんとも美しい。あー、ここに来たかった。ぼくは残りの人生、ひとつでも多くの美しいものにふれたいのですよ。そして、本栖湖での富士山の姿も美しゅうございました。

道の駅「にしじま和紙の里 かみすきパーク」に立ち寄り、何度も泊まったことのある中学校を改装したヘルシー美里に向かいます。南アルプス街道を走ると悲しくなってしまったのは、さらに過疎化が進んでいるらしいことと、リニアモーターカーなどと呼ばれる新しい新幹線の工事のために自然破壊が進んでいるらしいことを感じたからです。早川町は千人にも満たない日本一、人口の少ない町で、そこを縦断する何かは、あたかも前世紀からの腐敗した悪き霊のようでもある、とぼくは思ってしまう。これからの日本人は、それがどんなに困難な道であろうとも、自然やその中に生きる生きものたちと人が無理なく共存し、調和する、そのようなことを求めるべきではなかろうか? もしかして、それは、敗戦しても変わらず、公職追放ともなった保田與重郎の「万葉集」に戻れの、農本主義から絶対平和論への道に通ずるのかもしれません。それがぼくの大切な次の時代、次の世代に託す願いなのです。関係者が押し寄せては、去り、新幹線などという物ができあがっても、このあたりは通過するのみで、その高速の乗り物を涼しく眺め、見過ごし、人と自然の生きものの調和して営む、そのような早川町の実現するのを願わずにはおれない、などといいながら、またこのヘルシー美里に来てしまうのです。そして、ぼくは半世紀前の子どもたちの笑い声が、壊されてずにすんだこの校舎から聞こえしないのか、と耳をそばだてしまう。悲しみに心は乱れて、この文はずいぶん長くなってしまいました。悲しみは愛に変えねばならん。幻滅ではなく、いい夢を見て眠りにつくことにしましょう。

次の日、大きな富士山を見たくて、朝霧高原に行き、再び精進湖に行きました。紅葉も寒い夜を、一晩、過ごし、より少し濃くなったかのようです。そして、山梨県立美術館で『生誕100年 山下清展-百年目の大回想』を見ました。山下清のように美しい何かを探す行方不明の旅に出ることすら願いつつ、家路についたのであります。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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