えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ
国立能楽堂で能楽を見ました。狂言は和泉流「隠狸(かくしだぬき)」、能は喜多流「三井寺(みいでら)」でした。
「隠狸」は主人からたぬき汁を所望され太郎冠者は狸を買いに行けど、実は太郎冠者は狸を獲ることを楽しみにしていて、それをごまかそうとすという滑稽話でした。
「三井寺」は幼子と別れてしまった母が、清水寺に参ると三井寺に行けというお告げを得る。三井寺に行く途中、母はついにもの狂いとなる。そして、寺のもの以外はついてはいけない鐘をつく。さらに母は狂乱となる。すると・・・、という話。
日本人が何を恐れ、何を大切に思ってきたかは、能を見ればよく分かる。とともに、きわめて普遍的な何かを語っている。ぼくは昔の世界を思い至りながら、今の世界、ガザでの母と子のことのような気もして、この「三井寺」を見ていたのです。しばし「三井寺」を離れれば、能の「善知鳥」は今のガザそのもののようであるし、今のイスラエルは「善知鳥」に出てくる、心をなくし、狂人となった猟師そのもののような気もするのです。
祝、横須賀美術館の改修の後の再開でごさいます。『再オープン記念 没後10年 横須賀美術館コレクションによる島田章三展 空間の中の人のかたち、日常の中の人のかたち』を見ました。描かれた女の人の無表情で鬱な気持ちをたたえているようで、そのことが、なぜかぼくの胸にせまります。年表を見れば、島田章三は横須賀ゆかりの絵描きにして12歳での敗戦を経験し、その後、若くして絵描きの道を歩き始めております。絵の中の、静かだけど、どこか悲しげな女たちの表情は島田章三の心のどこから来ているのでしょうか? 具象でもなく抽象でもない、静かで悲しいげな絵の中の何かにぼくは惹かれてしまっていました。
話は変わって、季節ごとに展示替えされる常設展示も素晴らしい。今日はぼくの大好きな写真家の北井一夫さんのもっとも初期のプリントが展示され、現代美術家、丸山純子さんのインスタレーションも展示されておりました。そして、谷内六郎の絵の展示に癒やされます。横須賀美術館の近代以降の日本の洋画のコレクションは日本有数なことは間違いありません。
VODで黒澤明監督の『赤ひげ』を見ました。1965年の映画です。原作は山本周五郎の小説『赤ひげ診療譚』。山本周五郎はこの『赤ひげ』を見て、絶賛したといいます。
舞台の時は江戸時代。主演は赤ひげこと小石川診療所の医師、新出去定を演ずる三船敏郎。この三船敏郎がかっこいい。その弟子に不本意にされてしまう若い見習いの医師を演ずる加山雄三が爽やかで素敵です。
物語はオムニバスの庶民よりも更に貧しい人たちの修羅場以下の生きる地獄と、そんな人たちに寄りそい、治療し、救おうとする赤ひげ、その赤ひげに期せずして慕っていってしまう若い見習い医師。
黒澤明のヒューマニズムをさらに越えたヒューマニズム。素晴らしい長編映画『赤ひげ』は3時間5分間で、5分間のインターバル、休憩付きでありました。名作であります。
ナンシー・フレイザーさんが著し、江口泰子さんが訳した『資本主義は私たちをなぜ幸せにしないのか』を読了しました。白井聡さんが「解説」を書いております。読み進めるのがなかなか難しい本でありましたが、読んでよかった。資本主義の一丁目一番地のアメリカ合衆国から政治哲学のこのような本が登場したことに驚いております。と同時に当然だとも思います。本当に資本主義の終焉がやってきているのかもしれません。本の内容を紹介するために目次を引用します。
序章 共喰い資本主義―私たちはもう終わりなのか
第1章 雑食―なぜ資本主義の概念を拡張する必要があるのか
第2章 飽くなき食欲―なぜ資本主義は構造的に人種差別的なのか
第3章 ケアの大喰らい―なぜ社会的再生産は資本主義の危機の主戦場なのか
第4章 呑み込まれた自然―生態学的政治はなぜ環境を超えて反資本主義なのか
第5章 民主主義を解体する―なぜ資本主義は政治的危機が大好物なのか
第6章 思考の糧―二一世紀の社会主義はどんな意味を持つべきか
終章 マクロファージ―共喰い資本主義の乱痴気騒ぎ
さきほど、市内のどこかで土砂災害の起こる可能性のニュースを聞きました。無尽蔵だと思われてきたものが、本当は有限であり、それが無秩序を引き起こし、氾濫し、復讐しているのかもしれません。関連したことは『資本主義は私たちをなぜ幸せにしないのか』の「第4章 呑み込まれた自然―生態学的政治はなぜ環境を超えて反資本主義なのか」にも出できます。大雨の壁と屋根を叩く音を聞きつつ、2022年に原書の出されたこの本は予言的であったと実感し、今、それが実際に現在進行しているようなのです。
白井聡さんは「解説」の中で宇野弘蔵の経済学の影響を指摘していますが、なるほど、と思いました。けれども、それ以上に宇沢弘文の経済学に近く、宇沢の説く「コモン(社会的共通資産)」は直接的な大きなヒントとなっているような気がします。
今という時代に登場したもっとも重要な理論書の本書には具体的な解決策は提示されておりません。柄谷行人さんの『力と交換様式』にあるように、その解決はやってくるものでしょうか? 今は資本主義社の最後のパーティーで、柄谷行人さんの『力と交換様式』や斎藤幸平さんの『人新世の「黙示録」』と呼応し、『資本主義は私たちをなぜ幸せにしないのか』は資本主義の後の未来のための小さな点のような光を灯してもいるかもしれません。
『資本主義は私たちをなぜ幸せにしないのか』ナンシー・フレイザー
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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