えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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水口憲哉さんの著した『桜鱒の棲む川 サクラマスよ、故郷の川をのぼれ!』を読みました。この本は、東京海洋大学の名誉教授であらせられる水口憲哉さんの、日本の河川から姿を消しつつあるサクラマスをどうやって再生させたらよいのか、その学術研究の成果がいくつものエッセイとして書かれた、少し難しい内容でありました。

「サクラマスよ、故郷の川をのぼれ」というのは、サクラマスというのは生まれたところの川から海にくだり、半年か一年を過ごしたあと、生まれたところの川を遡上する、その性質を述べた言葉で、あくまでも、サクラマスの故郷の川であって、観察者である人間にとっての故郷ではないところに、水口憲哉さんの生物に対してのやさしさを感じるようで、ぼくはうれしくもなる。

水口憲哉さんと同じく、ぼくも、原発を作り続け、ダムを作り続け、川を荒らしつづける日本の政治と行政に異を唱えたいと思う。環境省と水産庁が特定の魚を行政と政治、利権の都合によって、レッドデータブックの絶滅危惧種に出したり入れたりしているということをこの本『桜鱒の棲む川』で知り、その昔から続くご都合主義に唖然とする。「国破れて山河在り」というけれど、この三十年間、国政の失政がつづき、しかも、この国は山河すら破壊しつくそうとしているのかな?

『桜鱒の棲む川』にはサクラマスのしたたかな生き延びていく戦略のようなことについても書かれてれていて、それは微かな希の一筋ではあるのだけれども、この本の刊行は2010年でその後の今までの11年がどうなっているのか、とても気になり始めました。






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瀬戸内寂聴さんの著した『句集 ひとり』を読みました。句集と俳句についてのエッセーを組み合わせた本でした。本を読めば、死と孤独の匂いが立ち込め、圧倒されました。よくテレビなどで拝見される楽しいことを語る女のお坊さんの姿は、そこにはなく、その孤絶の厳しい美しさには、読みながらはっと息を呑む。一句だけ引用いたします。

御山のひとりに深き花の闇

これは寂聴さんが色紙にきまって書いていた俳句でもあるそう。「あとがき」に一遍上人の言葉が書かれていた。

生ぜしもひとりなり
死するもひとりなり
されば人とともに住すれども
ひとりなり
添いはつべき人
なきゆえなり







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国立近代美術館に『民藝の100年』展を見に行きました。


民藝という美学を創始した柳宗悦は、柳田國男と並ぶ、明治、大正、昭和の時代を生きた知の巨人だとぼくは思う。そう、柳田と柳の二人は、言葉と思想の矛盾をそのまま、考えぬいた国際派にして民族派であるような偉大な思想家であると思う。「民藝」とは、どこにでもあった手作りの日常品、茶碗や皿などの雑器に美しさを見つけ、日本の、台湾の、朝鮮の、アイヌの、沖縄の美を考察し、民俗がたらしめている民族とは、何かを深く考察する、そのようなこと。『民藝の100年』は、明治、大正、昭和と流れ進んだ、それを見ることができます。そして、それにあきたらず、ぽくは駒場の日本民藝館にも再び、何度でも足を運んでしまうでしょう。


「民」つながりのシンクロシティなのだろうか、夜はブルーノート東京に民謡クルセイダーズを見に行きました。


伝統とは「変わっていく変わらないもの」なのか、「変わらない変わっていくもの」なのか、誰が言ったことなのか、分からなく、忘れてしまったけれど、南米のコロンビアのリズム、クンビアで奏でられるホーハイ節を初めて聴いた時の驚きの喜びが思い出される。桜の咲くころはワシントDCの桜フェスティバルでの演奏が待っているそうです。踊って、巡って、世界中を進めよ、民謡クルセイダーズ。
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高森顕徹さんが監修し、高森光晴さんと大見滋紀さんの著した『歎異抄ってなんだろう』を読了しました。あー、吉本隆明の書いた親鸞についての本とくらべ、何と、わかりやすいことかと思いつつ、わかりやすいから、こんなんでいいのだろうかと疑心のわくぼくは、何とも救いがたい人間であることか。この『歎異抄ってなんだろう』は親鸞の語ったことを書いた唯円の歎異抄からいくばくかは離れて、親鸞聖人の説く「信」と「救い」について書かれておりました。この本のおしまいの章に歎異抄の原文が載せられていて、読み返すに、ぼくは、その歎異抄の第九章が一番好きです。ぼくなりに意訳すると、こんな内容なのです。

唯円「アホ禿さま、あっしには阿弥陀さまがお救いくださるというけれど、なんか、うれしいとも何とも感じられなーのです。どういうことでしょうか?」
親鸞「そーか、じつは、わたしもそれ、同じなんじゃ。なーんもうれしくもないし、信じているかもうたがわしい。そんな愚かで、いつもくよくよ悩んだりするあたしも阿弥陀さまは救ってくださった。なのとも頼もしいと思えませぬか、唯円ちゃん」
唯円「そうですな、なんか頼もしく、楽しく、うれしくなってきちゃいました」
親鸞「みんな、往生、間違いなしじゃ」

これは、落語のやっさん、くまさんですな。おあとがよろしいようで。






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吉本隆明の著した『親鸞の言葉』を読了しました。吉本隆明の本は愚鈍なぼくには難しくてよく内容が入らないし、心にも響かないから、読むのはやめよう、などと思いつつ、仏教、そして、浄土真宗や親鸞には関心があって、読んでしまった。

よかったのは、吉本の現代語訳の「教行信証」でした。とてもわかりやすかったです。ただ「[中略]」となっているところが多い。完全にすべてが訳された吉本隆明のの現代語訳の「教行信証」を読んでみたいが、すでに吉本隆明は故人となり、かなわぬこととなってしまっている。ちなみに、浄土真宗の葬式の時に僧侶が唱えるのは経文ではなく、この「教行信証」なのです。

この本には「『最後の親鸞』からはじまりの宗教へ」と題された中沢新一さんとの対談が載せられているけれど、二人とも麻原彰晃こと松本智津夫のオーム真理教にやられ、もっていかれたしまった。ほかに、この対談の中で小林秀雄の最後の著である『本居宣長』を煽上げていて、なにが、「もののあわれ」かとぼくは思ってしまう。

昔、吉本隆明と花田清輝との論争で、花田清輝は、真円より楕円の方が豊かだと書いていたけれど、ぼくも真円より楕円が好きなのです。






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原一男監督の『水俣曼陀羅』を見ました。水俣病患者と国との裁判の戦いを主軸に、チッソという会社による公害がもたらしたものをまるごと、とらまえようとする6時間以上もの長尺のドキュメンタリーで、ほとんど眠くならずに見れました。

半世紀以上の間、この水俣の公害でもたらされてものは解決されておらず、未だに戦いの途上でもあって、後世のためにもこの映画が残されてよかった、とぼくは思う。そして、日本という国は、足尾鉱山から福島第二原発まで、棄民を是とする政策の国であるように思え、暗澹たる気持ちになりながら、水俣病被害者やその支援者の明るさと笑顔にぼくは何だか励まされるような気持ちにもなりました。

エンディングロールで不知火海が映され、山を取り戻せ、川を取り戻せ、そして、海を取り戻せ、とぼくは心の中で叫んでおりました。

ぼくは、20年間もの間、このフィルムを撮りつづけてくれた原一男監督に感謝を、半世紀以上、戦いつづけた水俣の人たちに敬意を表したいと思います。

映画「水俣曼荼羅」公式HP
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瀬戸内寂聴さんの著した『寂聴精撰 美しいお経』を読みました。

こういうのを読むと、本当に寂聴さんはお坊さんだったのだなぁ、と思います。批評や難しい解説とかが書かれていないから、寂聴が心をこめて選んだお経が、その美しさとともに、ぼくの心に違和感なくすーっと入ってきて素晴らしい。

僭越ながらも、ぼくは寂聴さんを、なぜか、同じ何か大切なことのためにの戦っている同志のようにも感じていました。

巨星は堕ちたのではない。瀬戸内寂聴さんという星は、夜空をどこまでも高く昇っていてって、輝き、この暗い世界で正しい方を指し示す羅針盤の針のようでもあり、今、世界を照らしてくれているかのようでもあるのです。






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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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