えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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コンラート・ローレンツの「ソロモンの指輪」を読んだ。「動物行動学入門」という副題ももったこの本は、動物行動学という学問領域を打ち立て、ノーベル賞も受賞したオーストリアの博士のまず初めの著作だという。学問としてはもう古くなってしまった箇所もあるそうだが、その動物たちに向けられた愛にみちた眼ざしが文から伝わってきて、なんとも暖かい気持ちになります。

犬について書かれたところなどは、死んでしまった愛犬のレオを思い出し、ほろりと涙しそうになりました。

終章に書かれた「モラルと武器」は、激動の二つ戦争のを生き延びたヨーロッパ人の苦しい警句のようでもある。ナチスに入党し、軍医となり、ソビエト軍の捕虜となった過去を持つ彼が、戦後どう生きようとしたのかは、暗喩のようにこの「モラルと武器」に表されているのかもしれない。

ともあれ、動物好きには楽しい古典的名著であると思います。






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昔、NHKのラジオか何かで、生前の谷崎潤一郎がその長編の代表作「細雪」につてインタビューで語っているのを聞いたことがある。この日本の近代文学最高の文豪はその「細雪」について、あれは戦前、戦時下の軍部がうるさくて、めくらましに書いたんだよ、というようなことを言っていた。その「細雪」もついには戦中に軍部によって発行禁止となる。発行禁止となっても谷崎は書きつづけ、戦後「細雪」は完成する。

もう一人、永井荷風は「断腸的日乗」を戦前、戦中、発表のあてもなく、戦後の彼の死の前日まで書きつづけ、死後、発表される。「断腸的日乗」から一節を引用します。

「今秋国民兵召集以来、軍人政治の害毒いよいよ社会の各方面に波及するに至れり。親は44、5歳にて祖先伝来の家業を失いて職工となり、その子は十六、七歳より学業を捨て職工より兵卒となりて戦地に死し、母は食物なく幼児の養育に苦しむ。国を挙げて各人みな重税の負担に耐えざらむとす。今は勝敗を問わず、ただ一日も早く戦争の終了を待つのみ也」

世情を感じ、明日を憂い、こんな二人の作家を思い出した。
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町田にあるカルチャー・スクールでもありカフェバーでもある万象房ってすごいところだ。そこで日本を代表する二人のプレイヤーとの出会いがありました。一人はブルース・ギター、スライド・ギターの日倉士歳朗さん、一人はハワイアン、スラックキー・ギターの松本ノボルさん。そして、ぼくはときどき、金曜日の夜にバーとなっている万象房で呑んでいます。来年(2014年)の1月25日(土)は、その万象房で日倉士歳朗さんのライブのオープニング・アクトをつとめます。楽しみだなぁ。しかし、それに限らず、最近、人との出会いがなんか楽しい。

http://musictown2000.sub.jp/banshowboh/
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ヨシフ・スターリンの恐るべき狂った圧政のソビエト連邦のシベリアの極寒の地の強制収容所から、書きものという方法を奪われた帰還兵たちによって、記憶という手段で、俳号、北溟子こと山本幡男さんからの遺書がその妻、モジミさんに戦後、手渡される、辺見じゅんさんの著したそんなノン・フィクション「収容所(ラーゲリ)からの遺書」を読んだ。

辺見さんが「あとがき」に書かれているように、過酷な状況に置かれてもなお人間らしく生きるとはどういうことか、ということが、胸に重く響く。愛する家族への最後の手紙であると同時に今の時代への警句でもあるかのような、その届けられた遺書がどのようなものかは、本書を読んでいただくとして、死を覚悟した晩年の山本幡男さんの言葉を引用してこの本を紹介します。

「野本さん、釈迦はね、世界最大のセンチメンタリストなんだよ。キリストは詩人なんだ。ぼくはね、なんのとりえもない凡人だけど、どんなときでもセンチメンタリストでありつづけたい。結局ね、パトスだけがわれわれ人間にとって最初の審判者であり最後の審判者なんだ。そう思えてきたよ」

ぼくはこのパトスを受苦をともなう他者への共感と訳してみる。誤訳かもしれないけれど・・・おやすみ、ZZZzzz.....










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数年前、再会した古友だちから連絡があり、職場の同僚だか先輩だかが演劇をしていて、それを見に行かないかと誘われたのが、無頼組合の芝居を見た最初であった。それは、「HARD DAYS騎士」という演劇で、座長、白川孝さん自ら演じる私立探偵、風吹淳平を主人公とする涙あり笑いありの活劇もの。それから1年後ぐらいだろうか、再び誘われて、その探偵ものシリーズの続きでもある「ストレンジャー インザ 騎士」を見に行って、やはり感動してしまった。今回見たのは、そのまた続きの「ホンキィ・トンク騎士」で、さらなる感動で胸がじーんとしてしまった。

芝居を見る前に、風吹探偵は、(小川直美演じる)その助手の鶴田紅は、(大平美由紀演じる)情報屋の藤キリコは、(酒井秀人演じる)元ヤクザの南雲徹は、(桑山えり子演じる)女刑事の西園寺静は、どうしているのだろう、などと架空の人物に思いをはせ、物語の舞台のベイ・シティーは今はどんなふうなのだろう、と想像してみる。そして、芝居が始まると、またその登場人物たちに会え、ベイ・シティーという街に自分が再びいるようで、何か、うれしかった。

物語の人物や舞台である街が心に住みつき、根をおろしてしまうというようなことを久しぶりに感じてしまった。感動のうちに芝居が幕をおろし、ぼくは劇場から冬の始まった新宿の街に出て、家路に向かう。

再び風吹探偵やその仲間たちからの風の便りを心待ちにすることにします。

http://www.buraikumiai.com/
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初めてベリー・ダンスというものを見た。セクシーでした。これはアラブの遊女の踊りなのかな、と不謹慎にも思ってしまったが、はずれているとも言えないのではないかしら。昔、バリのダンスを見た時、重要なことをする前の鳥となった男女の愛の確かめ合いのようだと想像したのだが、ベリー・ダンスもそのようであった。ミック・ジャガーやティナ・ターナーのダンスもそのようであるだろう。人はそれを前戯と呼ぶらしいのだが、生きるものの根源の営みでもあるにちがいない。ダンス、万歳!
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戦争ものの大衆小説を著し、今はもう忘れさられたような作家、棟田博の「サイパンから来た列車」を読む。二編収められていて一つは小品の「サイパンから来た列車」、もう一つは中編の「ポッポ班長万歳」。こてこての戦記文学ではなく戦争を背景した淡い笑い、ユーモアと悲哀の涙を誘う珠玉の作品が二つで、かのオー・ヘンリーの名作を思い起こさせる。ぼくは10年後の日本はどこかの国と戦争でもしているのではあるまいかと、昨今の風潮に悪い予感をおぼえ、どんな時にも、どこか善良に生きたいと心貧しくも願いつつ、こんな本に手が伸びてしまう。その悪い予感がはずれたらいいと思い、このような読書が悪魔祓いのまじないのようでもあると感じてしまう。









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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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