えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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水木しげるの漫画『漫画で読む戦争と日本―敗走記―』につづき、『漫画で読む戦争と日本―壮絶!特攻―』を読む。『敗走記』にくらべ、『壮絶!特攻』は反戦色が薄まったようにも感じたけれど、この本の中の一編「鬼軍曹―それは何だったのか―」に水木しげるの、ユーモアまじりの戦争についてのこんな感想がある。

「鬼軍曹は強がりに生き
 影山伍長は要領よく生き…
 水木上等兵は反対しながら生きた。
 そして結果は鬼軍曹はすべてを失い
 (まことに気の毒なことだ)…
 影山伍長は何も失わず
 水木上等兵は五体の一つを失った。
 〝戦争〟とはある見方からすると〝台風〟のようなものだった。
 ばか正直に立ち向かうでもなく身をかがめて台風の去るのを待ったような
 影山伍長が勝利者だったのかもしれない
 いずれにしても…
 なんだか〝国家〟にいじめられているみたいだった。
 いわゆる〝忠義〟だの〝国賊〟という言葉で国民はがんじがらめにされて
 一部の「勇ましい人々」によって他国民の幸福までふみにじるはめになったわけだが
 願わくは〝国家〟はむやみに過酷な義務を課すことなく
 老漫画家から税金をむしりとるようなことをしないやさしい国家であってほしい
 そうなれば外敵がきても国を護ろうという気が起きる」

こんな漫画を読むと、昔、NHKで放送していた『戦争証言アーカイブス 兵士たちの戦争』を思い出してしまう。この番組の中で、たくさんの生き残った兵士たちは、怒りが抑えられなく、声を震わせて証言していた。水木しげるも戦争のころを思い出すと、怒りの感情がむしょうにこみあげてきて、おさえきれなくなる、と言っていた。そして、今、水木さんのようなたくさんの戦争を知っている人たちが鬼籍に入られて、政治家、文化人、起業家、一般人、多くの、戦争はいいことだ、みたいにいう人たちが日本に現れてしまっている。嘆かわしく、危機を感じます。水木しげるの戦争の漫画やNHKの『戦争証言アーカイブス 兵士たちの戦争』は後世に伝えていくべきもっとも大切な日本人の経験だと思う。

番組|NHK 戦争証言アーカイブス





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梅の花盛り、谷保天満宮へお参りをしに行きました。「谷保天満宮」と書いて「やぼてんまんぐう」と読みます。湯島天神、亀戸天神とならぶ関東三天神の一社であります。


天満宮ですから、菅原道真を祀っており、梅の木があり牛の像がありますな。谷保天満宮には二体の牛の像があり、とくに神社の鳥居の隣にあった座牛像が、ぼくは、なぜか惹かれました。この座りこんだ牛は、関敏の作で菅公葬送のとき、悲しみ動かなくなった牛車の牛を現すのだそう。この像を見て、ぼくの感じた清らかな悲しみは、スマホのカメラでは写し取れませんでした。


そして、梅の花がきれい。梅林に美しい鶏も歩いている。風情があります。



御神籤をひくと「大吉」でした。

「谷保天満宮

 第四番 おみくじ
 
 吹く風に
 高峰の雲も
 はれ行きて
 涼しく
   照らす
 十五夜の月

 運勢 大吉」

ゆめゆめうたがふことなかれ
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ドライブして、湯河原の梅林に行きました。甘い香りが漂う中、丘陵に面した梅の林をあてどなくさまいよい歩きました。よい夢の中にいるような時を過ごしました。




その後、土地の神様であるらしい五所神社に詣でました。ご神木の楠に両手でふれると、ぼくの心も、体も、なにやら、大きな命に治癒されるかのようでした。


御神籤をひくと「大吉」です。

「さくらばな
  のどかに
   におう
 春の野に
  蝶もきて
 まうそでの
  うえかな」

ゆめゆめうたがふことなかれ


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西川美和監督の『すばらしき世界』を見る。

殺人を犯した罪により服役した刑務所から戻ってきたやくざ、三上正夫を演じる役所広司さんがすごい。刑務所帰りの九州の男を演じているというより、刑務所帰りの九州の男が映画の中のそこにいるようだ。

ステレオタイプに当てはめて見てしまうのは、よいことではないと知りつつも、なんだか、ぼくの父の生まれたところが福岡県の田川で、その土地の空気を吸って育った男たちのことを少しは知っているからだろうなのか、九州の男にはこういうところがあるな、などと思ってしまった。いいや、間違えた、九州の男にはこういうところがある、というより、九州にはこういう男がいて、それは、『無法松の一生』の無法松のような人で、純情でやさしく、だが喧嘩っ早い。

映画を見始めて、すぐにこの役所広司さんの演じる、やくざの世界から足を洗おうとしつつ自分を曲げられず、暴力に走ってしまう三上正夫のことが憎めなくなる。役所さんはシカゴ映画祭で演技賞を獲得していて、これは審査員の受賞理由コメント。

「役所広司は巧みながらかつ違和感なく、主人公に深みと様々な真に迫った感情を与えている。その演技により、一見容赦ない社会の中でしっかりとした普通の生活を手にいれようと奮闘する主人公の姿を我々も共に辿ることができ、彼の力強い演技によって映画全体がしっかりと築き上げられている」

三上正夫と懇意になる近所のスーパーの店長、松本良助を演じる六角精児さんの素晴らしい演技にもなんだか注目してしまった、この人はNHKの「六角精児の呑み鉄本線・日本旅」に出ている人ではないか。「六角精児の呑み鉄本線・日本旅」を見ながら、なんだか、おいらと同じことが好きな、おいらと同じような感覚の人がいるな、と思っていたのだが、役者とか俳優であったことは知らなかった。どんな人かと調べてみると、おいらと同じ学年であることを知った。なんだか他人と思えないっす。

おもしろいセリフもたくさん出てきます。

「金持ち連中を枕を高うして眠らせるために温和しく生きるほど、俺らはお人好しじゃなかけん」

世間の片隅でこまいく(福岡の方の言葉でちいさく)なって生きているぼくは、三上正夫がやくざのおかみさんにこの世界に戻ってきてはいけないと説得される、このセリフになぜか、ギクリとしたのです。

「娑婆は我慢の連続ですよ。我慢のわりにたいして面白うもなか。やけど、空が広いち言いますよ」

1990年に出版された佐木隆三のほぼ実話を元にした小説「身分帳」をこの映画は現代の時代背景に翻案していて見事で、西川美和さんはとても丁寧に映画を作られておられり、詩的でありながらリアルな全編であるけれど、映画のラストは鋭く、そして、深い問いを見た人に残すでしょう。

すばらしい映画をありがとう。

映画『すばらしき世界』オフィシャルサイト|大ヒット上映中
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セブンイレブンで水木しげるの漫画『漫画で読む戦争と日本―敗走記―』があって買って読んでしまった。従軍した水木しげるの十二編の戦争ものの漫画を読みながら、これがリアルというものなのだろう、と思う。「地獄と天国 前編」と「地獄と天国 後編」は水木しげるが経験した戦争そのものだろうし、この本の締めくくりの「戦争と日本」は水木しげるの後世に残したメッセージそのものだろう。

そのメッセージそのものの「戦争と日本」を読みながら、最近、起こったミャンマーのクーデターのことを考えてしまう。ミャンマー軍のトップがテレビのニュースに映し出されて、この人がロヒンギャの民間人を殺した軍の司令官であるのだろう。なんとも気色悪い。日本軍も外地と呼ばれたところの日本で同じようなことをたくさんしていた。日本は再び戦争をしてはいけない。戦争の方に行こうとする政治家を警戒しなくてはいけない。空しく滑稽と思われても本望です。武器を捨てろ、そんな声をあげつづけなくてはいけない、とぼくは改めて思っています。

トーチweb 漫画で読む「戦争と日本」
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『文藝別冊 ジャニス・ジョプリン 孤独の破滅の歌姫、50年目の祈り』を読みました。

このムックの題名の「50年目」とは何の50年目かというと、去年の2020年がジャニスが死んで50年目、今年の2021年がジャニスの最期のスタジオアルバム「パール」が発売されて50年目だそうで、いろんな人のジャニスに関する文集なのです。

思い出せば、ぼくもティーンエージャーのころ、ジャニス・ジョプリンの歌が好きで、毎日のようにレコードプレイヤーでレコードをかけて、聴いていた。聴くのに飽き足らず、町田にあった古本屋、高原書店で買った、デヴィッド・ドルトンの著した「ジャニス ブルースに死す」を何度も読み返していた。今、アナログレコードを町田のディスクユニオンで買って、再び、買って、あのころのように聴いて、『文藝別冊 ジャニス・ジョプリン』を読んでいたりするのだけれど、この『文藝別冊 ジャニス・ジョプリン』を読みながらの通勤電車で、ぼくの目頭は何度も熱くなり、涙ぐんだのです。

ジャニス・ジョップリンを初めて聴いたのはいつのことだっだのだろう? 多分、それは中学生のころNHK-FMのヤングジョッキーで渋谷陽一さんが、「夏だからめずらしく、こんな曲をかます」とおしゃべりして流した「サマータイム」だったと思い出す。強烈だった。ぼくはあのころからずっと、ジャニスに恋しているのだと告白しよう。

いろんな文章が載っている『文藝別冊 ジャニス・ジョプリン』だけど、「ジャニス・ジョプリンのための断章」でスタイリストの北村道子さんが談話するには、彼女は1969年に比較言語学の研究者たちとアメリカを旅していて、「どうやらタダでマリファナが吸えるらしいぞ!」と情報を得て、ウッドストックに向かったそうなのだが、それはジャニスも出演したウッドストック・ミュージックフェスティバルだった。彼女はジャニスについて、こんな風に思い出している。

「歌い方の独創性、政治的な意思表明の呼びかけ、社会への態度が明確にある。ジャニスは社会学者になりたかったの? なればよかったのに。やりたいことを全部やればよかったのよ。でも、自らあのヴォイスを作ってしまったんだよね。その道のカードを引いてしまった。

 わたしの世代は心のどこかにジャニスみたいなものを持っているんです。好きとか嫌いとか、二元論じゃないんです。ああいうやつがこの世界にいたんだ、っていう」

ジャニスの歌は聞けばすぐわかるほど独創的だ。そして、独特の心を持った人だった。

ジャニスのティーンエージャーのころの過酷な経験。アメリカ文化研究のウェルズ恵子さんはこの本の「幸せになりたい人の炎の声―ジャニス・ジョプリンとブルーズ」でこう書いている。

「ジャニス・ジョップリンの声を聞くたびに、私は傷つく。でも、私はそうして彼女と―正直で勇敢な魂の彼女と―対話しているのかもしれない。ジャニス、できれば、生きて戻ってきてほしい。そして今度こそ、幸せになってほしい」

ぼくも、そう思う。





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五木寛之さんの著した『死の教科書―心が晴れる48のヒント―』を読みました。五木寛之さんの書くものは好きなんです。ファンといっても差し支えありません。

昔、五木寛之さんは「五木寛之の夜」というラジオ番組をやっていらして、その始まりの時のセリフがこんな風でなんとも粋でした。

「人生は短く、夜もまた短い。今日できることは明日に延ばして、せめてこの深夜の一時を」

この番組を聴いて、ぼくは今は無きソ連(旧ロシア)の反体制シンガーソングライター、ヴィソツキーやアルゼンチンのフォルクローレのギター弾き語りの詩人、ユパンキを知ったのです。

さて本の話に戻り、この『死の教科書―心が晴れる48のヒント―』は読者の死や老いにまつわる質問を五木さんの八十八年の人生の実感を通して答えるというもの。五木さんはこの本の前書きに、この答えとまったく違う方に行ってしまってもいいと言う。ちょっとだけこの本の紹介のために引用します。

「年長の先輩に何かをたずねるとき、人は必ずしも正しい答えを期待しているわけではない。その問題について語り合いたいのではあるまいか。答えはたぶん自分で決めている。問題の周辺を一緒にぐるぐる歩き回ることが必要なのだ。
 私自身、先輩や友人にアドバイスを求めたことが何度もあった。そしてほとんどの場合、よい助言や忠告を受けた記憶がある。しかし、実際には私はそのアドバイスにしたがわず、自分で決めた道を選択した場合が多かった。
 では、私が受けたアドバイスは意味がなかったのか。いや、決してそうではない。むしろ、その言葉に背中を押されて、反対の方向へ歩きだしたことが多かったのだった」

「前車の覆しは後車の戒め」、そして「自分のことは棚にあげて」、自由に発言していこう、と五木さんは初めて思い、この本を出したそうなのです。

人生の重たい話をある軽みでもって飄々と普段の言葉で語る五木さんに、読みながら、ぼくは、そうか、と何度も安堵の溜息すらついていたのです。

あー、そして、いつか、五木寛之さんの「青春の門」を全巻、読みたい。







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えいちゃん
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男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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