えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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田中眞澄さんの著した『小津安二郎と戦争』を読了した。東京国際映画祭でたくさん小津安二郎の映画を見た時、有楽町の映画館の近くの三省堂書店で買ったものです。

この本の中に「小津安二郎陣中日誌」というのがあり、145頁から227頁までの長さ。表紙には「禁公開 例えば僕が戦死してもこの日記の内容を公表しまたは記載することは堅くお断り下さい。どうか僕をジャナリズムの敗残兵にしないでくれ」とある。その「小津安二郎陣中日誌」の153頁から179頁までが中国国民党もしくは中国共産党の抗日ビラ、日本人への宣撫ビラの写しなのだ。これは軍規への重大な違反かもしれず、その書き写した文の数はおびただしい数におよび、収集していたともいえる。そんようなものを収集していた小津安二郎は何を考え、何を思っていたのだろうか? もしかして、白兵戦や捕虜の殺害を目のあたりにした、そのような兵士としての戦争の中で、正気を保つためのことではなかったか?

この「小津安二郎陣中日誌」には撮るべき戦争を題材にしての映画のためのシナリオのメモのようのものがあるのだが、小津や戦争映画は終生、撮らなかった。いや、ぼくは撮らなかったのではなく、撮れなかったのだと思う。けれども、小津安二郎はその家族劇の中で多くの戦争に関する言及を残した。最後の映画『秋刀魚の味』では以下のようなセリフのやりとりがある。

「艦長、なんで日本は戦争に負けたのでしょうね」
「負けてよかったじゃないか」
「そうかもしれねえな。バカな野郎がいばらなくなっただけでもね」

その「泉」というバーでのシーンにたくさんの無念の戦死者の声が響いているような気がした。バー「泉」は「黄泉」なのかもしれない。

ぼくは、小津安二郎が、戦争を撮らずとも、もっとも戦争について映画の中で語った映画監督であると思う。







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歌ってしまいます。そしてギターも少々。
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