えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ

このまえ見た映画「ライフ・オブ・パイ」の原作であるヤン・マーテル著「パイの物語」を読了した。メルヴィルの「白鯨」という小説を思い出した。「パイの物語」も「白鯨」も海洋の物語で百科全書的だと思ったのです。「白鯨」は鯨捕りについてのありとあらゆることが書いてあるとするならば、「パイの物語」は漂流ということについてのありとあらゆることが書かれているような気がした。しかも、一頭のリチャード・パーカーと名づけられたベンガル虎と漂流するのです。そして、謎を残す読後感に、記憶ということは、あったことも、本当はなかったことも、等しく人の人生にとっての真実なのかもしれない、と思い、目眩のようなものも、ぼくは感じたのです。いつか、パイはあのリチャード・パーカーに再びまみえる時が来るような小さな予感を残して本をとじた。

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