えいちゃん(さかい きよたか)

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コゴナダ監督の『アフター・ヤン』を見ました。

近未来のある時、ベイビーシッターとして家族の一員となっていたロボットもしくはアンドロイドが故障で動かなくなり、調べているうちに、そのロボットには一日に数秒間だけ、記憶を動画ファイル、フォログラフィのファイルとして記録を残す機能が備わっていて、その記録には家族の大切な時間や謎の知らない女性が移されていて、というようなストーリーでした。

コゴナダ監督は小津安二郎監督を最も敬愛している、ということで、とても静かな映画で、ときおり眠くなりながらも、そのアーティスティックな世界に惹きつけられてしまっていました。

何度も、何度も劇中で使われる"I want to be"という歌詞で始まるとても印象的でかっこいい曲があって、エンドロールを見ていると、Takeshi Kobayashi"のクレジットが出てきてびっくりしてしまう。後から調べてみると、ぼくも過去に見たことのあった岩井俊二監督の『リリー・シュシュのすべて』の挿入歌のリメイクなのでした。テーマ曲は坂本龍一さんでそれももちろん素晴らしい。

たくさんの動画ファイルの記録されているところが宇宙のようで、ぼくは、過去から未来までの世界のすべてがアーカイブされているというゼロ・ポイント・フィールドを妄想してしまう。小津安二郎の映画のように「家族」ということがこの映画大きなテーマで、そこに老子などの東洋思想が暗喩としてちりばめられている。家族の映画を撮りつづけた小津安二郎の墓標は「無」の一字だそうだ。禅? 近代に遅れてやってきた東洋の感受性と思考は出口の見つからない世界へのよき一撃なのであろうか?

ロボットと友だちであるミカを演じる子役のマレア・エマ・チャンドラウィジャヤが天才的に素晴らしくて魅力的。子役が素晴らしいというのは、ぼくは岩井俊二さんの映画を思い出します。

小津安二郎がこの『アフター・ヤン』を見たら、どう思うでしょう? にやりと微笑むのではないかしら?

映画『アフター・ヤン』公式サイト
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えいちゃん
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音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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