えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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浅草演芸ホール令和六年五月中席昼の部に行って参りました。今日は、落語芸術協会の山遊亭金太郎師匠、雲龍亭雨花師匠、松林伯知師匠のめでたい真打披露興行。

見た演目を書き出してみます。前座の桂しょう治くんの「狸札」、二つ目の三遊亭遊七くんの「雑俳」、片岡一郎さんの活動写真弁士、笑福亭羽光師匠の「感想文」、橘ノ圓満師匠の「猫と金魚」、一玄亭米多朗師匠の「がまの油」、桂小文治師匠の「蒟蒻問答」で一回目の仲入りとなりました。山田邦子さんのお楽しみの漫談、神田紅師匠の講談「お富与三郎」、三遊亭笑遊師匠の「湯番屋」、コント青年団のコント、春風亭昇太師匠の「鷺とり」ど二回目の仲入りです。真打昇進披露口上がありまして、山遊亭金太郎師匠の「後生鰻」、松林伯知師匠の講談「湯水の行水」、東京ボーイズの歌謡漫談、桂南なん師匠の「辰巳の辻占」、春雨や雷蔵師匠の「金婚旅行」、ボンボンブラザ-スの曲芸、主任をつとめる雲龍亭雨花師匠の「子別れ」。

三遊亭笑遊師匠の滑稽噺「湯番屋」は強烈に印象に残りましたが、主任の雲龍亭雨花師匠の人情噺「子別れ」について述べねばなりますまい。噺家さんの人生が自然にそかはかとなく溢れるかのようで、深く響く素晴らしき噺でございました。寄席はパラダイス。
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友だちに誘われて、初めて女子プロレスを見ました。会場は後楽園ホールで、スターダムという団体。すごい迫力です。はり手やエルボー、キックで体を撃つ鈍いボソッとかいう音が響いて、耳に届きます。選手の「バカヤロー」とか「コレデオワリ」とか「イテー」というおたけびが聞こえ、組わざを決められそうになると、セコンドが「動け動け」とわめきます。痛みに耐える体と心の強靭さの競い合いは、青春のパッションとパッションのぶつかり合いでもあります。面白さを越えて、ぼくは感動していました。
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落語と能楽の鑑賞にずいぶん夢中となってしまった。落語は生きているものちちのためにあり、能は死んでしまった人たち、この世にあってはならないものたちに捧げられ、むしろあっていいのだと説いているように思えるけれど、両者に共通していることは、生きていることの痛みをやわらげ、救ってくれるようにも思えることだ。

今日、見た能楽の狂言は「入間川」、能は「加茂物狂」であった。狂女は舞いを踊り、その舞いは美しくなり、愛おしい人との再会もとげるのだが、それらもすべては流れ去り、鏡の松のみそこに残されるのだった。
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大江健三郎の著した『みずから我が涙をぬぐいたまう日』を読む。これは何度目かの再読かもしれない。明治から昭和にかけての特殊な時代の天皇制の天皇というテーマの『みずから我が涙をぬぐいたまう日』は、同じテーマの『月の男』も所収して一冊の本となっている。

これを読めば、いかにも三島由紀夫の『英霊の聲』や戦後、最も読まれた作家の切腹という自死に反訴していることは明かであるようなのだけれど、むしろ、『みずから我が涙をぬぐいたまう日』の方が「少国民」と呼ばれた大江自らの少年期の愛国の真情、情熱がほとばしるようなのだ。『みずから我が涙をぬぐいたまう日』に書かれた昭和二十年八月十五日までは、そのような真情が、八月十六日には、跳躍し、戦後となる。むしろ、戦争を忌避した日本浪漫派を出発した三島由紀夫に戦争の終わりは来たが、戦後は来なかったのではなかろうか? 永遠と続く戦争と終戦の永劫回帰のような中で、三島は遂には死者の後を追い、自害したことを最も理解しえた作家は大江健三郎しかいなかった。三島の死を多くの作家は狂気のように扱ったが、大江のみ自らのこととして、引き受けて批判しようとして、小説を書き、その小説の『みずから我が涙をぬぐいたまう日』の本意は「天皇陛下が、オンミズカラノ手デ、ワタシノ涙ヲヌグッテクダサル、という祈求の叫び」ということらしい。この本にある「*二つの中篇をむすぶ作家のノート」にはこんな詩の断片が記されており、その言葉は常に大江という作家の心のどこかにあったという。

 純粋天皇の胎水しぶく暗黒星雲を下降する

もう一つの中篇は『月の男』で、それは現人神たる天皇に謁見することを希求するNASAの訓練から逃亡したアメリカ人を主人公とする物語で、その主人公の緊張は、テレビで報ぜられる月の人類の到着で極点に達し、天皇の言葉を希求するのだった。戦後民主主義と戦後憲法の擁護者であった、大江健三郎は文字通り、その一条を含めた日本国憲法の擁護者であったのかもしれない。今では天皇こそ平和の擁護者だという声も聞かれる。しかしながら、作家は「著者から読者へ」というあとがきで、このような否定でも肯定でもない言葉を記してもいて、それは読者にアンビバレンツの疑問を投げかけるようでもある。引用して、この感想を了とします。

 天皇制を持っている国家と、そうでない国家とは―旧憲法のもとではもとより、新憲法のもとでも―すっかりちがう、一般的な国家像とはちがったその特別な国家に、われわれは生きているのだと、とくに若い人たちに繰りかえしいいたい気持を、ぼくは押さえられません。しかもそれをエッセイの文体では自分には書けぬ、危険な多様性を持った、ある深みまで、『みずから我が涙をぬぐいたまう日』は表現しえているのではないか、と僕は―希望的な観測も含めて―考えています。

『みずから我が涙をぬぐいたまう日』(大江 健三郎)
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鈴本演芸場五月上席昼の部に行って参りました。見た演目を書き出してみます。柳亭市助くんの「元犬」、二つ目の林家たけ平くんの小話、三増紋之助師匠の曲独楽、鈴々舎馬風師匠の漫談、古今亭菊之丞師匠の「長短」、立花家橘之助師匠の浮世節、柳家三三師匠「道灌」、春風亭一朝師匠の「湯番屋」、ロケット団の漫才、桃月庵白酒師匠の「代脈」でお仲入りとなりました。ダーク広和さんの奇術、林家つる子師匠の「皿屋敷」、柳家さん喬師匠の「真田小僧」、林家一楽師匠の紙切り、主任の林家正蔵師匠の「一文笛」。

印象的な噺を少し。春風亭一朝師匠の「湯番屋」で大爆笑。やはり春風亭一朝師匠は春風亭一之輔師匠の師匠にあたる人なのです。林家つる子師匠の「皿屋敷」の演ずるお菊さんがよかった。柳家さん喬師匠の「真田小僧」も面白く、揺れない紙切り名人の林家一楽師匠の飄々とした味。林家正蔵師匠の「一文笛」の迫真の人情噺に身をのり出すように聴いていました。寄席はパラダイス。
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登戸駅近くのNAMNAM Spaceというところで開催されている『パレスチナ あたたかい家』と題された展覧会に行ってみました。一部屋のスペースに新進の作家のパレスチナ支援のためのいろんな絵や作品が並んでいます。このような展覧会を見に来るのは、ぼくのような、かわりもの、はぐれものの老人ばかりで、閑散としていると思いきや、それなりの人の入りで、ぼく以外は若い人ばかりであるのを、ぼくは希望と感じたのです。きっと、みんなの思いは一つ、虐殺がやむことを願うばかり。

この展覧会は、満州国という植民のイスラエルと同じような過ちを犯し、敗戦し、敗戦の前にはガザのようの爆撃にあい、二発の原爆を落とされ、平和を謳う憲法を持つにいたった、戦災の後も、何度も災害からの復興をした、そのようの日本人らしいインデペンデントな素晴らしい展覧会であるし、戦争に抗する多様な表現であると思うのです。一昨日は憲法記念日でありましたが、そう、平和を謳う憲法こそ今や深い部分で日本らしく、日本人の美しい心のようであります。この停戦を願う小さな展覧会は、灯された希望そのものだ思ったのです。

Palestine,Our Warm House
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夏井いつきさんの著した『夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業』を読みました。この本を読んで、俳句とは文学や文芸であると同時に、工芸であるように感じたのは、俳句が五七五の型や季語を有するからかもしれません。それはアメリカの黒人たちが育んだブルースが明瞭な型を持ちながら、とても自由であることに似ているような気もするのです。森羅万象のさまざまなこと、小さなことの美しい気付きをこのように表現できてしまう俳句は何て素晴らしいのでしょう。

夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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