えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

entry_top_w.png


この前オーティス・レディングのファースト・アルバムのことを書いたのだから、今夜はウィルソン・ピケットのファースト・アルバムについて書いてみたいと思います。畢竟、オーティスと比べてしまうのだけど、ウィルソン・ピケットに比べ、オーティスの歌が、何ともマイルドでソフトケイトされた歌のように聞こえてくるのだった。逆に言えば、ピケットの歌声はあまりに無骨で熱情的で、どこまでも行ってしまう世俗のゴスペル歌手のようでもあり、しかも自作の歌はとてもロマンチックなのです。たくさんの歌が、ロック・アーティストにカバーされていて、オーティスと並ぶ1960年代のソウルのキングだったことはやはり間違いない。そんな数々のヒット曲の中からこのアルバムの1曲目"In The Midnight Hour"を意訳してみます。

「真夜中の時間まで待っているよ
そのころ、おれの愛が転がり始めるはずさ
真夜中の時間まで待っているよ
そのころ誰もいなくなってしまう
きみを誘って手をにぎりしめ
どんなことだって話してあげよう
あの真夜中の時間に
そう、このぼくが
このぼくが
もう一度今すぐ言わせておくれ

星が輝きはじめるまで待っているよ
きみの瞳にキラキラ星を見るのさ
真夜中の時間まで待っているよ
おれの愛が輝くころ
きみだけがぼくを本当に愛してくれる
そんな女の子さ
真夜中の時間に
もう一度演奏してくれ

真夜中の時間まで待っているよ
そのころ、おれの愛が転がり始めるはずさ
真夜中の時間まで待っているよ
おれの愛が輝くころ
きみとぼく
きみとぼくだけさ
きみとぼく以外に誰もいなくなって
ぼくはこの腕にきみを抱きしめる」

それで、このアルバムを聴き進め、5曲目の"I Found A Love"を聴くころには嬉しくて、悶絶しているわけよ。
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png


本屋で昔読んだことのあるこの本を立ち読みしていると、あれっ、こんなこと書いてあったけな、と思って、つい買ってしまい、一気に読んでしまった忌野清志郎の「瀕死の双六問屋」。その話とはバスでミシシッピのクラークデールに向けて、旅をする話で、アメリカを西から東に横断旅しようというあの娘に、クラークスデールは行った方がいいよ、とぼくが教えたあげたのも、思い出したのだった。

さて、本の帯には「最終話を含む幻の原稿18話分を収録」とあり、そうだったのかと合点した。この本は、清志郎がメジャーを干されて、インディーズというより、自主制作でアルバムを連発し、日本中をライブツアーでドサ回りしていた、そんな時に雑誌に連載されていたもので、ブルースマン、忌野清志郎がそのまま表れている。

おれも最近、自分がブルースマンのような気がして、そのブルースってのは、苦悩の音楽で、なぜそのような苦悩の音楽によって幸せを感じたり、救われたするのだろう、と思いめぐらすと、その答えも、この本には書かれているような気がする。「これだけは言っておく。ブルースを忘れないほうがいい」と言う清志さんの言葉に絶対的に共感し、忌野巨匠のぼくの大好きな名盤「メンフィス」を聴きたくなるのです。

ぼくといえば、ぼくのブルースマンであるぼく自身が、今度の土曜日(3月31日)の夜、小田急相模原のエルトピート(http://www.el-topito.com/)で歌っています。みなさん、ぼくのブルースを聴きにきてください。そして、空の向こうで歌を歌っているあの人と唱和しつつ、もう一度、言おう。

「これだけは言っておく。ブルースを忘れないほうがいい」










entry_bottom_w.png
entry_top_w.png


アイルランドのダブリンの街にはソウル・ミュージックがよく合うなぁ。アラン・パーカー監督の「ザ・コミットメンツ」をつたやで借りて見たのです。

ダブリンって、こんな大都市だったのか、とも思った。アラン・パーカーは出演者を探すためにダブリンのライブ・ハウスをくまなく見て回ったそうです。ダブリンでは一晩で三千ものバンドがどこかのライブ・ハウスで演奏しているそうだが、本当だろうか? その中で選ばれたミュージシャンがオーディションをし、またその中で選ばれた人たち、演技者としては素人の人たちが演技しているのだけど、ライブのシーンは、すべて生演奏なのだそうだ。その演奏がかっこいい。

こんな印象的なセリフもある。

「アイルランド人はヨーロッパの黒人なんだよ。だからおれたちにはソウル・ミュージックができる。おれは黒人だ、おれはそれを誇っているって言える」

初めの方に出てくるあるシーンで、ぼくは、アラン・パーカーは映画監督ではなくて、バンドのマネージャーになりたかったのかな、と思った。

見た後、ぼくの昔を思い出し、明日の夢を見ました。そして、無性にオーティス・レディングが聴きたくなったのです。
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png


旧知の友だちであるトンネルぬけてぇさんから中川五郎さんをむかえて相模大野のオーディオ酒場、アコースティック・パフォーマンス・コレクション(通称:アコパ)でギグをするというので行ってみた。

いつものこわれたような、放送禁止のような、パンキーなトンネルぬけてぇさんの歌に続き、パワフルなバラード歌手、Monchikaさんの歌を堪能する。歌詞に大船という地名が出てきて、なぜかどきりとしたりする。私はトンネルを通っているのではなく、トンネルを何年間も掘っているといMCに、もぐらのようだと思い、自分みたいだなぁと思いました。これはこれで正しい生活と人生ではなかろうか。

そして、ついに、中川五郎さんの登場となり、わくわくする。中川五郎さんというとぼくの中では、パンクの元祖、オールド・パンクと呼ばれた小説家、チャールズ・ブコウスキーの一級の翻訳者だったりするわけで、歌は聴いたことがなかったので、どんな歌を歌うのだろう、と興味深々だったのです。一曲目が伝説のシャンソン歌手、ジャック・ブレルの暗い内容の曲を日本語詞にしたもであった。これで、もうすでに中川ワールドに引きこまれたのでした。まるでライ・クーダーみたいな姿勢の歌い手だなぁ、とも思った。とても魅力的なご自身の曲も歌うのだけど、広い世界の埋もれた名曲を日本語詞で、この夜、ぼくは五郎さんの歌声でたくさん聴いたのです。

ラストは、自身の今の時代を歌ったプロテスト・ソングに続き、ジェリー・ジェフ・ウォーカーの「ミスタ・ボージャングル」、ジャニス・ジョップリンの素晴らしい歌で有名なクリス・クリストファーソンの「ミー・アンド・ボビー・マギー」、この日本語詞にもぐっときた、アンコールの高田渡の「生活の柄」では酒場いっぱいのお客さんの大合唱になったのです。いやぁ、楽しかった。

さて、このライブにさそってくれたトンネルぬけてぇさんの紹介で四月十四日にぼくも、この場所で歌わせてもらうことになりました。うれしい。

帰り道で自転車をこぎながら、歌いつづけることってどんなことだろう、と思う。きっと、とってもいいことなんだ。


中川五郎さんのホームページ
http://www.goronakagawa.com/

相模大野アコパのホームページ
http://www2.tbb.t-com.ne.jp/acoper/
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png


今回の福島での原発事故は熊本県の水俣での水銀公害の再来であるような気がする。ぼくは原発公害事件だと認識しているのだけど、いち早く福島で取材をし「書行無常」という本にそれを収めた写真家の藤原新也さんと四十年ほど前に水俣を書いた「苦海浄土」で有名な石牟礼道子さんの対談集「なみだふるはな」を一気に読んだ。公害事件についての対談というより、水俣の公害以前の水銀にも現代の経済成長にも汚染されていない、それ以前の水俣について、藤原さんが石牟礼さんから話をうかがうという内容であった。石牟礼さんの語る汚染以前の水俣に日本の、そして、世界の行くべき地を指し示されたような気がした。石牟礼さんの書いたこんなあとがきに、いかばかりの胸騒ぎとともに大きな当惑がやってきて、ぼくは小さな勇気をもらったような気もするのだった。引用します。

 ある方がこんことをおっしゃいました。
「東京まで行ってみたがなあ、日本ちゅう国は見つからんじゃった。探しきらんじゃった。
 東京にゆけば祖(おや)さまの国があるにちがいなか。わたしらは、その祖さまの人民じゃと思うとりました。さきの戦争も陛下のひと言で終わらせなはった。
 いざというときには祖さまがおんなはると、こう思うてきましたばってん、わたしどもは、祖さまば持たん人民じゃろかいなあ。
 どこにゆけばよかろか。
 水俣は、日本の外になっとるにちがいなか。日本から見れば、水俣は行方不明になっとるちがいなか。
 家族全員水俣病になって、もう三代目、いやいやもう四代目になっとる。ひょっとすればわざと、失(う)してられとるかもしれんと邪気まわりしたりして、こりゃ独立して、もう一つの世ば作れちゅうことじゃなかろかなあ」
 今はなくなった、患者さんの言葉です。









entry_bottom_w.png
entry_top_w.png


ブルースやソウル・ミュージック、ロックン・ロールは悪夢を良い夢に変えるもので、映画はその良い夢を現実にするものかもしれない、とマーチン・スコセッシ監督の最新作「ヒューゴの不思議な発明」を見て思った。ということは、スコセッシ監督が、多分、大のロック・ミュージック好きであるらしいことから、そう思ったのです。近くはローリング・ストーンズのドキュメンタリを手がけているし、ザ・バンドのラスト・コンサートの映画「ラスト・ワルツ」の監督でもあるからだ。

そんなことで、ポップ・ミュージックと映画の関係を連想してしまう。アラン・パーカー監督の「コミットメンツ」やらジム・ジャームイッシュ監督の映画にはトム・ウェイツやイギー・ポップが出ていたし、スタンリー・キューブリック監督の「フルメタル・ジャケット」のラスト・シーンにはローリング・ストーンズの「ペイント・イット・ブラック」がまことに効果的に使われていた。オリバー・ストーン監督にはドアーズのジム・モリソンを主人公にした映画があるし、スパイク・ジョーンズ監督の原点はビョークなどのプロモーション・フィルムだ。数えあげればきりがありません。日本では青山真司監督や岩井俊二監督がロック好きであるだろう。

脱線から戻り、「ヒューゴの不思議な発明」は素敵な映画でした。ストーリーのばらしはやはりやめて、この映画は、人生についてさらりと触れて、ノスタルジックなファンタジーでもあるような映画で、映画による映画賛歌でもある、と思う。そして、映画を見終わったあと、原作の絵本「ユゴーの不思議な発明」も読んでみることもお薦めします。あくまでも、映画を見終わったあと、というのも、ぼくは映画を見るよりも前に原作を読んでしまい、話の展開を知ってしまっていたので、あの良い映画の与えてくれる、この先どうなるんだろう、というわくわくどきどき感が少なくなってしまったからなのです。それから、この原作本、モノクロの絵と詩を感じさせる散文が折り重なり、映画をしのぐほど素敵です。









entry_bottom_w.png
entry_top_w.png


西海岸のジャズってほとんど聴いたことがなかった。西海岸とは主にロサンゼルスを指し、東海岸とはニューヨークなのであろうか。そのウェストコースト・ジャズで聴いたことがあるものといえば、クリフォード・ブラウン、チェット・ベイカー、あとはオーネット・コールマンぐらいなもの。フリージャズの創始者であるオーネット・コールマンをウェストコースト・ジャズとして位置づけることには議論もありそうだ。

そのウェストコースト・ジャズのアルトサックス奏者、アート・ペッパーについては、村上春樹の訳した英国の作家、ジェフ・ダイヤーの短編集「バット・ビューティフル」に登場する人物で、とても興味を持ち、三人目のウェストコースト・ジャズとして聴いてみたくなり、近所の中古CD屋さんディスク・ユニオンで買ってみたのが"the art of pepper"。ウェストコーストのジャズってニューヨークのジャズとはまったく違った響きがします。ありていにいえば、明るく乾いている。カリフォルニアはヤシの木が並木を埋める常夏のもう一つのアメリカなのだろうか。

買ってきたCDを聴きながら。このアートのサックスの響きと音の連なりは邪気払いの音楽にぴったりだと思う。57年間を生きたこのジャズマンは生涯、麻薬中毒に苦しんだといわれるが、サックスを吹くときだけは無垢の若者として生きたのではなかろうか。小鳥の自由と純真なさえずりのようなアートのサックスはぼくのお気に入りとなりました。








entry_bottom_w.png
<< 前のページ 次のページ >>
[345]  [346]  [347]  [348]  [349]  [350]  [351]  [352]  [353]  [354]  [355
plugin_top_w.png
カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
2 4 6
9 10 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
えいちゃんのお奨め

ライブのお知らせ

ぼくのTwitter

plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
最新コメント
[12/23 ロンサム・スー]
[07/27 gmail account]
[08/29 えいちゃん]
[08/29 みさき]
[05/18 えいちゃん]
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
ブログ内検索
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
最新トラックバック
plugin_bottom_w.png
Copyright えいちゃん(さかい きよたか) by えいちゃん All Rights Reserved.
Template by テンプレート@忍者ブログ