えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ

レンタルのDVDで借りていたアキ・カウリスマキ監督の「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」と「レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う」の2本を夜中に見る。2本ともとんがり頭のようなリーゼント・ヘアーのロック・バンドを主人公にした、かたやアメリカを旅する、かたやヨーロッパを旅するロード・ムービーなのであった。
これは崩壊した宇宙のような映画だな、と思った。「崩壊した宇宙」とはライ・クーダーが自分のアルバム「ジャズ」を失敗作だと認めて、そうインタビューで答えていたその「崩壊した宇宙」なのです。けれど、ぼくは「ジャズ」というアルバムは「パラダイス・アンド・ランチ」や「チキン・スキン・ミュージック」と同じぐらい大好きなのだけど。おっと、脱線してしまった。
この「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」も、「レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う」も崩壊した宇宙のようにとりとめもなく、ぼくも何度か気持ちよく眠たくなってしまったのだけど、もしかして、その崩壊した宇宙も美しい。とくに「レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う」はその不思議さがルイス・ブニュエルの映画のようで不可解なわけのわからない自由すらも感じさせる。
フィンランドの生んだこの映画狂が映画監督になってしまったアキ・カウリスマキにはえあれ。
もちろん、レニングラード・カウボーイズ、めちゃかっこいいです。


加藤直樹さんの著した「九月、東京の路上で」を読む。
副題である「1923年関東大震災ジェノサイドの残響」が表しているように、90年前の東京や横浜が、つい近年のルアンダやボスニア・ヘルツェゴビナで立ち現われたような残虐さで市民がもう一方の市民、マイノリティたちを一方的に殺害し、その多くの殺人者がほとんどまったくといってもいいような何の罪にも問われないという信じられない光景が現れたという。
この本の前半は本当に読んでいて、苦しかった。後半に書かれていたほんの少しの良心が輝いていた。
そうだ、この本でも紹介されていたぼくの好きな民俗学者であり詩人であり国文学者でもあった折口信夫の「砂けぶり」を引用します。
「焼け原に 芽を出した
ごふつくばりの力芝(チカラシバ)め
だが きさまが憎めない
たつた 一かたまりの 青々した草だもの
両国の上で、水の色を見よう。
せめてもの やすらひに─。
身にしむ水の色だ。
死骸よ。この間、浮き出さずに居れ
水死の女の 印象
黒くちゞかんだ 藤の葉
よごれ朽(クサ)つて 静かな髪の毛
─あゝ そこにも こゝにも
横浜からあるいて 来ました。
疲れきつたからだです─。
そんなに おどろかさないでください。
朝鮮人になつちまひたい 気がします
深川だ。
あゝ まつさをな空だ─。
野菜でも作らう。
この青天井のするどさ。
夜になつた─。
また 蝋燭と流言の夜だ。
まつくらな町で 金棒ひいて
夜警に出掛けようか
井戸のなかへ
毒を入れてまはると言ふ人々─。
われわれを叱つて下さる
神々のつかはしめ だらう
かはゆい子どもが─
大道で しばつて居たつけ─。
あの音─。
帰順民のむくろの─。
命をもつて 目賭した
一瞬の芸術
苦痛に陶酔した
涅槃の 大恐怖
おん身らは 誰をころしたと思ふ。
かの尊い 御名(ミナ)において─。
おそろしい呪文だ。
万歳 ばんざあい
我らの死は、
涅槃を無視する─。
擾乱(ジョウラン)の 歓喜と
飽満する 痛苦と」
折口は、人間の凄まじさあさましさを痛感した、此気持ちは三カ月や半年、元通りにならなかった、と述懐している。ぼくたちはこれを繰り返さないようにこれを忘れないほうがいい。ぼくたちは違う人間同士、手を結び合ったほうがいい。そして、寂しさに泣くほど、しばしば孤独であったほうがいいのかもしれない。


今日はジョン・レノンの命日なのでした。
高校生のころこのアルバム"John Lennon/Plastic Ono Band"を聴き、ショックを受け、日本語のライナーノーツにあった今野雄二さんの訳詞を読みながら、むさぼるように毎日聴いていたことがある。時を同じくして古本屋でジョン・レノンのプレイボーイ誌での長編インタビューを片岡義男さんが訳していた「回想するジョン・レノン「ビートルズ革命」改題」という本を見つけてむさぼるように読んだ。たいそう重たい内容の本はビートルズ解散直後のインタビューであった。このインタビューからぼくはぼくがたいそう好きで影響されたことを引用してみる。
「(ロックンロールは)くだらないものが入り込む余地がないほどに原始的だから(大きな意味を持つのです)。最良のものだけが、ビートをとおして伝わってきますから。
黒人は、音楽をとおして、ボディとマインドをひとつにしたのです。すぐれたロックンロールは、すぐれた、という言葉の意味がどうであろうと、リアルなので、どうしても伝わってきてしまうのです。真実の芸術に関してはすべてこういうことがあるのですけれど、ロックンロールの中にはほんとうのものがあることに気がつきます。なにをもって芸術と呼ぶかはその人の勝手ですけれど。真実なものは、だいたいにおいて、単純です。
音楽は非常に重要で、例えば、ブルースがありますけれども、そのブルースに対してジャズ、つまり、白人中産階級の、グッド・ジャズがあるわけですし、ブルースのほうが、よりすぐれているのです。リアルだからです。倒錯していませんし、あれこれ考えていじりまわしたものではなく、コンセプトでもないからです。例えて言うならば、ひとつの椅子であるわけです。椅子のデザインでもなく、よりすぐれた椅子とか、もっと大きな椅子、といったものでなく、こったデザインの皮ばりの椅子でもありません。すわるための椅子であり、ながめたり評価したりするための椅子ではありません」
ぼくは、今のこんな世の中に生きていて、いつも想像してしまう。もしも、ジョン・レノンが今を生きていたなら、どんな歌を歌っていて、届けてくれているのだろうか? 今夜こそ、夢の中で聴かせてもらえるかもしれない。おやすみなさいZZZzzz.....




矢部宏冶さんの著した「日本はなぜ、「原発」と「基地」を止められないのか」を読む。この二つに関しては、なんか、どうしてだろうと、近頃いつも思っていたのだけど、この本からはその答えとなるだろうものを少なからずもらったような気がした。
最近、日本の社会のこととか考えると明日が漠然と暗く不安なのだよ。それに足して、ものごころついたころから、世の中、少しづつ悪くなっていって、そのあげくの果てが戦争前夜かもしれない今の日本だという気も大いにする。
これはある人の詠んだ琉歌だという。
「花ゆうしゅぎゆん
人知らぬ魂
戦ねいらぬ世ゆ
肝に願てぃ」
なんて、美しいのだろう。けれども、それよりも大切に思えることもあって、それは残されていく言葉すらも持ちえずに過ぎてしまったあなたたちの空に消えようとする言葉にもならない言葉なのです。
最近、日本の社会のこととか考えると明日が漠然と暗く不安なのだよ。それに足して、ものごころついたころから、世の中、少しづつ悪くなっていって、そのあげくの果てが戦争前夜かもしれない今の日本だという気も大いにする。
これはある人の詠んだ琉歌だという。
「花ゆうしゅぎゆん
人知らぬ魂
戦ねいらぬ世ゆ
肝に願てぃ」
なんて、美しいのだろう。けれども、それよりも大切に思えることもあって、それは残されていく言葉すらも持ちえずに過ぎてしまったあなたたちの空に消えようとする言葉にもならない言葉なのです。


横浜のそごう美術館に「トーベ・ヤンソン展 ~ムーミンと生きる~」を見に行った。今年はトーベ・ヤンソンの生誕100年なのだそうだ。ムーミンの生みの親はフィンランドの偉大なる画家でもあったのだ。
すごく混んでいた。永遠のムーミン人気です。
ムーミンが第二次戦時下に生まれたのを知った。震えるような線で小さく小さくノートに書きとめられたのだと思う。それが戦争の終わりとともに開花した。フィンランドの驚くべき現代史を少し考えてしまう。その初期のムーミンの原画はほんとうに小さいものだった。その小ささも、何か秘密を打ち明けられるようでかわいいなぁ。
この展覧会は今日まで開催されているそうです。
https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/14/tove/


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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。


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