えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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東京ステーションギャラリーの「生誕100年! 植田正治のつくりかた」展を見に行った。

植田正治の写真は演出写真などとも呼ばれ、忠実にある世界や生活の一瞬を切り取るべきだという写真手法、リアリズムを徹底的に追求すべきだという写真論に押され、一時期、過去の写真家ともなったらしいのだけれど、植田調と呼ばれたその独特の写真はむしろ常に海外での評価の方が高かった。

鳥取県の境港で生涯カメラ店を営む、アマチュア写真家のモノクロ写真を見ると、そのスタイリッシュなかっこよさの向こうに、写真を取る人と取られる人の笑い声が聞こえてきそうなのであった。

「お父さん、このポーズ、いつまですれば、いいの?」
「もうちょっと我慢しなさい」
「もう、疲れた」
「あっ、そこそこ、そこで止まって」
「もう、このへんでシャッター切ったら」

いつも日曜日になると植田正治は家族をつれて、鳥取の砂丘に撮影しに行った、という。その家族の楽しい声のこだまを聞いたような気もした。

http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/now.html
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本屋で立ち読みしていたら面白いんで、買って一気読みしてしまったのがシンクタンク「ソフィアバンク」の代表取締役であり社会起業論の教授でもある田坂広志さんの著した「なぜ、マネジメントが壁につきあたるのか」です。まじめなビズネスマンが読むような本だけど、話は仕事のことにとどまらずに、暗黙知、複雑系、禅へと敷衍していき、凡庸なノウハウ本にはない面白さがあった。ぼくはノウハウ本というのは人を単純にし、人の頭をバカにするようなものだとも思っていたのだけど、そんなことも書かれてていたな。

例えば、この本に書かれていたことの一つにぎりぎりのものごとを決める時に「割り切る」と「腹をくくる」というのがあるということ。前の会社にとても尊敬できる面白くて頭脳明晰な切れ者の、しかも人情深い大人物の上司というか取締役がいて、その人もよく「腹をくくる」と言っていたことを思い出したりした。その人は風の噂でまだまだ元気に第一線で活躍しているとのこと。

あぁ、けれども、落ちこぼれビジネスマンのようなぼくだけど、こんな本を読んでしまうのには、わけがあって、近い将来やりたいと思っている夢みたいなこともあるのですぞ。







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「山口冨士夫 天国のひまつぶし」を読了した。いろんな人からの山口冨士夫へのトリビュートブック、言葉による山口冨士夫賛歌の本なのであった。

ミュージシャンはもちろんこと、小説家、詩人、、文学者、写真家、思想家、新聞記者、いろんな人たちが、彼の死を悼み、言葉を寄せている。なんと言えばいいにだろうか、山口冨士夫はミュージシャンという狭い職業範囲を超えて、ロックンローラーも踏み越えて、山口冨士夫たるような存在だったのだと思う。

山口冨士夫がギターを弾いていた日本の日本人による日本語の日本人のための初めてで最高のロック・バンドたる村八分について、いしいしんじさんはあるエピソードをこの本の中で披露しているのだが、やはりこういうのがアティテュードとしてロックではないのか。若いかね? 青臭いかね? 空の向こうではジョン・レノンや忌野清志郎はどう言っているのかね? ここに書かれたチャー坊こと柴田和志や山口冨士夫の空の向こうからのやさしい笑い顔が浮かびはしないかね? 引用して、山口冨士夫は永遠なのだなーと見上げてしまう。

「なに、これ」
 と三歳の息子がやってきた。・・・<中略>・・・
「むらはちぶ、きいてみよか」
 といって、A面の一曲目に針を落とす。・・・<中略>・・・
「これ、だれがうたってんのん」
「さあ、だれやとおもう?」
 息子はしばらく耳をかたむけ、見つめたまま、
「おに」
 といった。
「すっごく、やさしい、おに」
 唖然とする僕を置き去りに、冨士夫のギターソロがうねりだす。
「これ、キター?」
「うん、ギター」
「だれがひいてんのん」
「さあ、だれやとおもう?」
 息子はやはりじっと耳をかたむけ、そうして晴れやかな顔をゆっくりとこっちに向け、ひとこと、
「どろぼう」
 とささやいた。
「すっごい、やさしい、うれしい、どろぼう」








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高畑勲監督の「かぐや姫の物語」を見た。この日本最古の物語の映画は、宮崎駿監督の「風立ちぬ」に続く今年二本目のジブリアニメは「風立ちぬ」をしのぐほどの傑作なのだった。アニメーションというより美しい日本の水彩画が命を持って動いているかのようだ。

あの日本人のだれもが知っていると思われるラストシーンでは不覚にも涙が止まらなくなって困った。客席のまわりのいたるところからすすり泣きがこだまして聞こえる。エンドロールの時、近く座っていたどこかのお父さんが、涙の止まらない小さい女の娘に、これはファンタジーだからね、大丈夫だよ、と何度も言っていた。ならば、ファンタジーは真実だ。ぼくたちは誰もがいつか月に帰らねばならないのではないかしら。

http://kaguyahime-monogatari.jp/
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コンラート・ローレンツの「ソロモンの指輪」を読んだ。「動物行動学入門」という副題ももったこの本は、動物行動学という学問領域を打ち立て、ノーベル賞も受賞したオーストリアの博士のまず初めの著作だという。学問としてはもう古くなってしまった箇所もあるそうだが、その動物たちに向けられた愛にみちた眼ざしが文から伝わってきて、なんとも暖かい気持ちになります。

犬について書かれたところなどは、死んでしまった愛犬のレオを思い出し、ほろりと涙しそうになりました。

終章に書かれた「モラルと武器」は、激動の二つ戦争のを生き延びたヨーロッパ人の苦しい警句のようでもある。ナチスに入党し、軍医となり、ソビエト軍の捕虜となった過去を持つ彼が、戦後どう生きようとしたのかは、暗喩のようにこの「モラルと武器」に表されているのかもしれない。

ともあれ、動物好きには楽しい古典的名著であると思います。






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昔、NHKのラジオか何かで、生前の谷崎潤一郎がその長編の代表作「細雪」につてインタビューで語っているのを聞いたことがある。この日本の近代文学最高の文豪はその「細雪」について、あれは戦前、戦時下の軍部がうるさくて、めくらましに書いたんだよ、というようなことを言っていた。その「細雪」もついには戦中に軍部によって発行禁止となる。発行禁止となっても谷崎は書きつづけ、戦後「細雪」は完成する。

もう一人、永井荷風は「断腸的日乗」を戦前、戦中、発表のあてもなく、戦後の彼の死の前日まで書きつづけ、死後、発表される。「断腸的日乗」から一節を引用します。

「今秋国民兵召集以来、軍人政治の害毒いよいよ社会の各方面に波及するに至れり。親は44、5歳にて祖先伝来の家業を失いて職工となり、その子は十六、七歳より学業を捨て職工より兵卒となりて戦地に死し、母は食物なく幼児の養育に苦しむ。国を挙げて各人みな重税の負担に耐えざらむとす。今は勝敗を問わず、ただ一日も早く戦争の終了を待つのみ也」

世情を感じ、明日を憂い、こんな二人の作家を思い出した。
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町田にあるカルチャー・スクールでもありカフェバーでもある万象房ってすごいところだ。そこで日本を代表する二人のプレイヤーとの出会いがありました。一人はブルース・ギター、スライド・ギターの日倉士歳朗さん、一人はハワイアン、スラックキー・ギターの松本ノボルさん。そして、ぼくはときどき、金曜日の夜にバーとなっている万象房で呑んでいます。来年(2014年)の1月25日(土)は、その万象房で日倉士歳朗さんのライブのオープニング・アクトをつとめます。楽しみだなぁ。しかし、それに限らず、最近、人との出会いがなんか楽しい。

http://musictown2000.sub.jp/banshowboh/
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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