えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ

黒澤明監督の『羅生門』をVODで見ました。1950年の日本映画です。
原作は芥川龍之介の『羅生門』ではなく、芥川の『藪の中』。ラストの捨てられた赤ん坊を志村喬の演じる杣売りが自ら育てると受け取るシーンは映画化により付け足された話であると思い、そこはいかにもヒューマニストの黒澤らしい。それ以外のこの映画の話はまったく芥川龍之介らしく、事件の当事者の三船敏郎の演じる盗賊の語ることも、森雅之演じる武士の語ることも、京マチ子演じる武士の妻の語ることも、本質的には交わらず、誰もが孤立した夢の中にいるように思えるのはどうしてだろう? このような話を書いた天才の小説家は、悲劇の最期を遂げるしかなかったようにも思えたのです。
松竹の雨はしとしと降り、大映の雨はざーざー降るといわれたらしいけらど、一級の演出家である黒澤明が『羅生門』に降らせた雨はまったくの豪雨で、曖昧なハッピーエンドでは小雨になっている。
京マチ子は妖艶で、志村喬は悩み、それは後の黒澤作品の『生きる』を先行するかのようだ。そして、盗賊の三船敏郎は『七人の侍』の千代丸を思わせるところもある。
ヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞に輝く名作です。この映画は敗戦国の日本に日本人であることへのある種のプライドを感じさせたというのです。ここから豊穣の日本映画の1950年代が始まったのかもしれません。




SILENT POETSは下田法晴さんのソロ・プロジェクトで、その最新アルバム“HOPE”がCOOLで素晴らしい。chill outします。SILENT POETSは川村祐介さんによるこのアルバムのライナーノーツによると、「ダブとブレイクビーツ/ダウンテンポを表現の土台としながら映像的な唯一無二のサウンドを紡いできた」とある。さらにライナーノーツを引用します。
「ここ数年、下田個人のSNSには、不公正な社会を作り出す政治、そして紛争によって、激化する暴力(ウクライナ紛争、イスラエルによるパレスチナ・ガザ民衆への一方的な暴力)への憤り、さらにはそうした暴力やはまざまな人権軽視や不公正に対する抵抗運動(BMLや#MeToo、そしてもちろんパレスチナ解放運動 etc.)への連帯へや自らのアクションが綴られている。」
日本にもこのようなミュージシャンがいたのか、と少し驚きつつも、嬉しい。この“HOPE”には平和を願い連帯する世界中のミュージシャン、アーティストも参加し、そのクオリティは抜群に上質です。HOPEを忘れない世界中の見えない何かでつながっている仲間たちの一人でも多くに聴いてほしい傑作なのです。




七月八日、新宿末廣亭令和七年七月上席昼の部を見に行きました。見た演目を書き出してみます。前座の桂伸都くんの「寄合酒」、二つ目の桂しん華さんの「ぞろぞろ」、桂伸衛門師匠の「八五郎出世」、ぴろきさんのウクレレ漫談、神田紫師匠の講談「お富与三郎」、三遊亭愛楽師匠の「猿後家」、宮田陽さんと宮田昇さんのお二人の漫才、桂南なん師匠の「へっつい幽霊」、玉川多福師匠の浪曲「男はつらいよ第20作 寅次郎頑張れ!」、林家今丸師匠の紙切り、滝川鯉朝師匠の「松山鏡」、春雨や雷蔵師匠の「強情灸」で仲入りです。二つ目の桂伸べえくんの「鼻毛カマキリ」、松廼家八好さんの幇間芸 、桂宮治師匠の「権助魚」、三遊亭笑遊師匠の「片棒」江戸家まねき猫師匠の動物ものまね、主任は桂伸治師匠の「ちりとてちん」でした。
印象にとくに残った演目です。桂しん華さんの「ぞろぞろ」ののんびりした感じがいい。桂伸べえくんの「鼻毛カマキリ」のシュールな噺に爆笑してしまいます。松廼家八好さんの幇間芸は幇間芸というものを初めて見ました。幇間芸をする人は浅草に六人しかいないそうです。ばかばかしさに笑えます。桂宮治師匠の「権助魚」と三遊亭笑遊師匠の「片棒」に大爆笑。桂伸治師匠の「ちりとてちん」は大好きな噺でこれも大爆笑。
暗いこの世のつらさ忘れ、寄席は心のオアシスなのです。






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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。


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