えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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大杉栄の「日本脱出記」という本を読む。大正時代や戦前の昭和がリバイバルしているのだろうか。数年前に小林多喜二の「蟹工船」ブームがあったっけ。大杉栄は大正時代の無政府主義者でこの本を書いた一年後、憲兵隊によって裁判もなく殺されてしまう。没年38歳の前年、ベルリンでの無政府主義者の大会に出席すべく、日本からヨーロッパに密航するのを記したのがこの本。この本を読むと当時の世界の様子が生々しく伝わってきます。ロシア革命が進行中で、フランス革命の起こった伝統的には自由の地、大杉の滞在したパリでも、無政府主義者や共産主義者への弾圧は吹き荒れていたのだなー。しかしながら、この本には政治的であったり、思想的であったりすることはほとんど出てこない。自由な旅行記なのです。そういえば、チェ・ゲバラがチェ・ゲバラになる前にアーネスト・ゲバラであったころに書いた「モーター・サイクル・ダイアリー」を思い起こさせる。「モーター・サイクル・ダイアリー」は無名のころのゲバラの本だけど、大杉栄はこのころ、天下の無政府主義者として全国に知られていて、官憲の監視下にあった。大杉栄とともに殺された伊藤野枝の生涯を描いた瀬戸内晴美(のちに寂聴)の「美は乱調にあり」という小説も良かったとうっすら記憶している。また読んでみようかなー。あと、大杉栄を殺した当時の陸軍大尉、甘粕正彦はこの後、満州に渡り、満州国建設で一役を担い、満州映画協会の理事に納まり、第二次世界大戦の終戦時に自殺。満州映画協会では李香蘭(山口淑子さん)らを主役に国策映画を作る。この「日本脱出記」は、激動の不幸な日本の現代史に突入する前夜だったのだろうか。さて、「日本脱出記」には次のような一節がある。

「そして、パパは? とだれかに聞かれても黙って返事をしないか、あるいはなにかほかのことを言ってごまかしておいて、ときどき夜になるとママとだけそっと何気なしのパパのうわさをしているそうだ。ぼくはこの魔子に電報を打とうと思った。そしてテーブルに向かって、いろいろ簡単な文句を考えては書きつけてみた。が、どうしても安あがりになりそうな電文ができない。そしてそのいろいろ書きつけたものの中から、次のような変なものができあがった。

魔子よ、魔子
パパは今
世界に名高い
パリの牢やラ・サンテに

だが、魔子よ、心配するな
西洋料理のご馳走たべて
チヨコレイトなめて
葉巻スパスパ ソファの上に。

そしてこの
牢やのおかげで
喜べ、魔子よ
パパはすぐ帰る。

おみやげどっさり、うんとこしょ
お菓子におべべにキスにキス
踊って待てよ
待てよ、魔子、魔子」

大杉栄さん、あなたのころは、無政府主義やら、共産主義やらが世界を動かす最新の思想の武器だったのでしょう。けれど、今、そんなものは無くなってしまったのかもしれません。あなたの自由を求める心とやさしさに感じます。










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えいちゃん
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音楽
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音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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