えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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この前、奄美大島を旅して、帰りの空港で買って、自分の部屋に積んでいた、島尾ミホの中短編小説集『祭り裏』を読了しました。読みながら、ぼくの若かりし頃、熱心に読んでいた中上健次の小説の濃厚な世界を思い出したりもします。小説の舞台は奄美大島のすぐ南にある加計呂麻島で時は前の戦争からその直後でしょうか。どのような世界であるかは、この本に「付篇」として載せられた石牟礼道子の「書評『祭り裏』」にある『祭り裏』からの引用が表すかのような世界なのです。

 幼い私にむずかしいことはわかしませんでしたが、神も人も、太陽も月も、海も山も、虫も花も、天地万物すべてが近所隣の人々と区別のつかぬ同じ世界に溶け合っていて、太陽はティダガナシ(太陽の神)、月はティッキョガナシ(月の神)、火はヒニャハンガナシ(火の神)、ハベラ(蝶)は未だあの世に行かずに此の世に留まっている死んだ人のマブリ(霊魂)、モーレ(海の亡霊)は舟こぼれした人のマブリ、などとみんな私と日常を共にしているごく身近なものばかりでした。

惨劇とも呼べる事件も小説のなかで発生してしまうのだけど、このようなところでこそ魂というものは育まれるのではないかしらと、ぼくは考えてしまいます。加計呂麻島語といってもさしつかえないような島の言葉のセリフをカタカナで表し、それに日本語の標準語訳のルビをふるという破格の文体もあり、書き言葉にはない芳醇さ、豊かさも素晴らしく、この『祭り裏』はフォークナー、ガルシア=マルケス、ジェームズ・ジョイスと並ぶ辺地から放たれた世界文学であるように思えます。

祭り裏
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えいちゃん
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男性
職業:
S.E.
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音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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