幸せの黒い猫

横浜に勤め口があるのだが、今夜は東京の方から帰った。酔っ払って終電。終電は最寄駅の一駅手前までしか行かない。駅前は長いタクシー待ちの列。一駅分、てくてく歩いて帰る。
家にかなり近づいてきた時、夜の町のどこかから、真っ黒い猫が出たきた。ぼくの足元にずっとまとわりつき、長いランデブー。何か、そのエレガントな猫に、テレパシーで、あなたの人生は大丈夫だよって、伝えられたような気がした。猫の写真を携帯のカメラでパチリと撮ろうとしたが、電池切れとなった。高貴な生き物を写真なんかに撮っちゃいけないんだ。
猫は魂を持っている。魂って何だろう？ それは、きっと、正直で、感じやすく、深くて、純粋で、愛にあふれたものなんだ。黒猫ちゃん、ありがとう。