えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ
梅原猛さんの著した『梅原猛の授業 能を観る』を読みました。ぼくも齢を一巡りすると、たまたまぼくが生まれたこの日本とは何だろうかと思い、能に惹かれもし、鑑賞しますが、この『梅原猛の授業 能を観る』を読むと、梅原さんの多様で大胆な学識により、日本の文化の古層があらわになるかのようなのです。
高校生のころ、梅原さんの『地獄の思想』や『水底の歌 柿本人麿論』を読み、そのユニークな論の立てかたと思想に感銘をおぼえた記憶があります。神社の在り方の本来は、国に対して恨みをもつ霊を鎮めるためのものが大きいのではないかと、梅原さんは卓見を述べておられました。
梅原さんは、日本を愛し、西洋に対して日本を擁護する日本主義者であり、国際日本文化研究センターの設立に尽力された人でありつつ、憲法九条の会の発足のまず初めの呼びかけ人であり、靖国神社の立場に反対の意をとなえられておりましたのには、一貫した切れることなない過去からの細い糸があったようにも思われもするのです。
梅原猛の授業 能を観る - 文庫 - 朝日新聞出版
上野の鈴本演芸場での令和六年八月下席昼の部に参りました。見た演目を書き出してみます。前座の柳家ひろ馬くんの「手紙無筆」、二つ目の春風亭一猿くんの「つる」、鏡味仙志郎師匠と鏡味仙成師匠のお二人の大神楽曲芸、林家しん平師匠の「初天神」、春風亭柳枝師匠の「金明竹」、笑組のお二人の漫才、春風亭三朝師匠の「太閤と曽呂利」、桂藤兵衛師匠の「須磨の浦風」、林家八楽師匠の紙切り、林家一蔵師匠の「ちりとてちん」で仲入りとなりました。そして、ダーク広和さんの奇術、古今亭駒治師匠の「山手線慕情」、宝井琴調師匠の講談の「徂徠豆腐」、柳家小菊師匠の粋曲、主任は春風亭一朝師匠の「三方一両損」でした。
印象に残った演目でございます。大胆に改変された林家しん平師匠の「初天神」は昭和の昔の祭りの夜店にまぎれこんだかのよう。林家一蔵師匠の「ちりとてちん」は大爆笑の連続。春風亭一朝師匠の「三方一両損」はそよそよと涼しい江戸の風が吹いておりました。寄席はパラダイスなのです。
新宿末廣亭へ令和六年八月中席昼の部を見に参りました。今日は普段は閉まっている二階席まで開けての満席。見た演目を書き出してみます。二つ目の春風亭昇羊くんの「宮戸川」、二つ目の桂南海さんの「噺枕(平林)」、できたくんの発泡スチロールを使った芸、春風亭昇也師匠の「庭蟹」、三遊亭王楽師匠の「新聞記事」、国分健二さんの漫談、春風亭昇吾師匠の漫談、春風亭柳好師匠の「目薬」、林家今丸師匠の紙切り、桂伸治師匠の「もぐら泥」、桂竹丸師匠の「ホタル帰る」で仲入りとなりました。そして、春風亭昇々師匠の「裸ンナー!!」、山田君と竹田君のお二人のラーメン屋を舞台にしたコント、春風亭柳雀師匠の「お菊の皿」、三遊亭遊吉師匠の「青菜 」、桂小すみ師匠の三味線を弾き唄いの俗曲、主任は春風亭昇太師匠の「不動坊」でした。
いくつか、とても印象に残った演目がございます。できたくんの発泡スチロールを糸ノコで切っていろんなカタチを作る芸は、紙切りの発泡スチロール版で、客席から感嘆の声があがるほどの見事なものでありました。鹿児島県が出身であられる桂竹丸師匠の新作落語の人情噺「ホタル帰る」は、今日の終戦記念日、八月十五日にちなんだ鹿児島県の知覧にあった特攻隊の出陣基地である知覧特攻基地の二十歳にも満たない特攻隊とその近くの富屋食堂のおかみさんの物語は、心暖かくも悲しい話でございました。心がしーんとなるような感動をおぼえました。二度と戦争はやってはいけません。春風亭昇々師匠の「裸ンナー!!」はあまりに馬鹿馬鹿しい噺に大爆笑です。春風亭昇太師匠の「不動坊」もどっかん、どっかんの大爆笑の連続でした。楽しいね~。
寄席はパラダイスですな。
内田樹さんの著した『私家版・ユダヤ文化論』を読む。面白かった。「終章 終わらない反ユダヤ主義」は特に興味深く、難しい哲学の話にも関わらず、一気に読んでしまったけれど、これは反ユダヤ主義を称揚する内容ではなく、どちらかといえば、ユダヤ人の固有の文化性を褒め称えるような内容であった。
読みながら、昔、読んだ武田泰淳の『快楽』という小説を思い出していた。この小説では「快楽」を「かいらく」ではなく「けらく」と読む。俗世の「快楽(かいらく)」を抜け出すことこそ、仏弟子である僧侶の「快楽(けらく)」であるとしながら、主人公の若き僧侶は何度も躓くのだ。主人公は寺の御本尊に尋ねる。すべてを見通せている仏陀よ、なぜ、この世界を救ってくださらぬのかと。仏陀はすべてを見つつ、何も手をくださない。これはユダヤ人の神のようではないだろうか?
この本を読んでみようという動機として、内田樹さんがYouTubeでユダヤ人について、語りまくっている動画を見たことも大きい。『私家版・ユダヤ文化論』と動画で知らないことも知り、新しいものの見方を知った。ファシズムの起源はイタリアのムッソリーニではなく、フランスにあり、かの国のエドュアール・ドリュモンというジャーナリストの書いた蒙昧な大著『ユダヤ的フランス』であっとらしい。そこから、フランスはナチスを歓迎し、ビシー政権を作ったのではないかと動画は内田さんは指摘する。さらに動画での内田さんの指摘は過激といってもいいようなものにもなる。ドイツのイスラエル支持の隠された動機は、隣人としてのユダヤ人との共生を忌避したいがためではないか? イスラエルにいる正統ユダヤ教徒は、パレスチナを支持し、イスラエルを拒否し続けているともいい、アメリカ合衆国のユダヤ人も一枚岩ではない。
内田さんは、ユダヤ人であり敬虔なユダヤ教徒であり、現代を代表する哲学者であり、神学者でもありレヴィナスから直に教えを受け、薫陶を受けたという。神の後から来たという絶対的な有神論者であり、愛こそが報われることのない努めてであり、報われることのないからこそ他者への責務であるとする、世界中にいるユダヤ人とともに、今は、ぼくはガザで暴力が止むことを祈るばかりなのだ。
Amazon.co.jp: 私家版・ユダヤ文化論 (文春新書 519) : 内田 樹
国立能楽堂で能楽を見ました。見た演目は、小舞の「住吉」、脇仕舞の「春栄」、仕舞の「鉄輪」、袴能の「通盛」でありました。狂言はありませんでした。
ところで袴能とは何でしょう? 夏という季節は汗によって能装束や能面の傷みがはげしく、しかも人の負担も大きく、この時期だけは能を演じていなかったそうなのですが、いつしか、紋付袴の姿で能を演ずるようになり、それが定着したようなのです。「袴能」は俳句の世界では夏の季語でもあるようなのですよ。そして、衣装を着ていないことから、能の演技の美しい所作をよく見れるということもあるようなのです。ぼくは今日、袴能を見て、謡いや能管、鼓などの能の音楽の力、美しさをとても感じた次第であります。と、同時に、「通盛」は袴能ではなく、能装束と能面での能をいつか見てみたいとも思いました。
カテゴリー
最新コメント
最新記事
(11/11)
(11/09)
(11/08)
(11/08)
(11/07)
(11/05)
(11/04)
プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
ブログ内検索
最新トラックバック