えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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小田急相模原のエルトピートで開催される、三雲参龍さんの主催する「月にポエロ 第三夜」に行って参りました。ポエトリーリーディングの集いです。



ぼくは今年の梅雨ごろに始めた俳句を披露いたしました。以下のようないくつもの句でございます。

 雨降らぬ梅雨の青空蝉はじめ

 朝早く蓮の咲くのを聞いたことなし

 夜の風アイスをほうりバスを待つ

 入道雲フロントガラスにまた立ち昇る

 油蝉駐車場での死骸なり

 雷の雲間に青空見えにけり

 掃き掃除散っては咲くよ百日紅

 夏越えの鱒を釣らずに草を釣る

 ロマンスカー窓から見えた鰯雲

 暗き雲響けど見えず遠雷か

 燕去る議事堂の空花の歌

 釣竿に二頭紅さす赤蜻蛉

 森の道レオの思い出彼岸花

 彼岸花つつじの葉の間二輪咲き

稚拙ですかな? 今年の五月に神奈川近代文学館で『生誕120年 没後60年 小津安二郎展』を見て、とても面白く、小津安二郎監督の映画をオンデマンドビデオでたくさん見もし、本でも読み、小津が俳句を好きだったらいしことを知り、自分でも作ってみようと思い、始めたのが梅雨ごろだったのです。俳句の残す余韻のようなものは、あたかも小津安二郎の語りすぎない映画のようなでもあると感じます。俳句というのは、有季(季語)やら定型(五七五)という緩やかな縛りがあり、その縛りと短さが、逆にぼくにとって、自由な表現を可能にしてくれている、あたかもアフリカンアメリカンのブルーズの形式のようでもあると感じられ、なんだか、とても気に入り、面白いと思ってもいます。あまりに短い詩の形式からプライベートなことしか読めず、それが読み人知らずの普遍へ突き抜けていくかのようでもあるのです。俳句はこれからも作りつづけていく所存でございます。

それから今年は関東大震災の百年後ということで、折口信夫の「砂けぶり」という詩を朗読しました。折口信夫は柳田國男と並ぶ、民俗学者のして国文学者、国語学者にして、詩人であり歌人であった人でりあます。国学院大学の民俗学部を開いた人でもあった。

砂けぶり 一

夜になつた―。
また 蝋燭と流言の夜だ。
まつくらな町を 金棒ひいて
夜警に出るとしよう

かはゆい子どもが―
大道で ぴちやぴちやしばいて居た。
あの音―。
不逞帰順民の死骸の―。

おん身らは 誰をころしたと思ふ。
陛下のみ名において―。
おそろしい呪文だ。
陛下万歳 ばあんざあい

砂けぶり 二

焼け原に 芽を出した
ごふつくばりの力芝め
だが きさまが憎めない
たつた 一かたまりの 青々した草だもの

両国の上で、水の色を見よう。
せめてものやすらひに―。
身にしむ水の色だ。
死骸よ。この間、浮き出さずに居れ

水死の女の印象
黒くちゞかんだ藤の葉
よごれ朽つて静かな髪の毛
―あゝ そこにも こゝにも

横浜からあるいて来ました。
疲れきつたからだです―。
そんなに おどろかさないでください。
朝鮮人になつちまひたい気がします

深川だ。
あゝ まつさをな空だ―。
野菜でも作らう。
この青天井のするどさ。

夜になつた―。
また 蝋燭と流言の夜だ。
まつくらな町で金棒ひいて
夜警に出掛けようか

井戸のなかへ
毒を入れてまはると言ふ人々―。
われわれを叱つて下さる
神々のつかはしめだらう

かはゆい子どもが―
大道で しばつて居たつけ―。
あの音―。
帰順民のむくろの―。

命をもつて目賭した
一瞬の芸術
苦痛に陶酔した
涅槃の大恐怖

おん身らは誰をころしたと思ふ。
かの尊い御名において―。
おそろしい呪文だ。
万歳 ばんざあい

我らの死は、
涅槃を無視する―。
擾乱の歓喜と
飽満する痛苦と

そして、折口信夫の短歌での号、釈迢空の短歌とその自らの注釈を、日本人よ、決して繰り返すなの願いも込めて朗読しました。

国びとの
心(うら)さぶる世に値(あ)ひしより、
顔よき子らも、
頼まずなりぬ

大正12年の地震の時、9月4日の夕方ここ(増上寺山門)を通つて、私は下谷・根津の方へむかつた。自警団と称する団体の人々が、刀を抜きそばめて私をとり囲んだ。その表情を忘れない。戦争の時にも思ひ出した。戦争の後にも思ひ出した。平らかな生を楽しむ国びとだと思つてゐたが、一旦(いったん)事があると、あんなにすさみ切つてしまふ。あの時代に値(あ)つて以来といふものは、此国(このくに)の、わが心ひく優れた顔の女子達を見ても、心をゆるして思ふやうな事が出来なくなつてしまつた。(折口信夫による自歌自註)

詩の朗読会というのはとても面白い。人の詩の朗読にも聞き入ってしまう。とてもいいひと時でございました。今回は全六夜の三夜目で、次は11月11日(土)の19時からだそうです。楽しみ…。

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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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