えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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高山文彦という人の著した「エレクトラ 中上健次の生涯」という本を読んで、憂鬱な気分になった。というのも、ぼくが中上健次の小説を熱中して読んでいた中学生の高学年から高校生までの思春期の鬱屈したやり場の無い反抗期の気分をまざまざと思い出したから。なんとも鬱陶しく気分が重くなりながら、読み進まずにはいられなかった。
ぼくにとっては、中上健次とDOORSは鬼門だ。いつでも気分は重く沈み、けれど引き込まれずにはいられない。そういうえば、思春期と言われるそのころ、勉強というのが嫌になった。というのも、中学のある時期、激しい腹痛に襲われ、医者に行くと、これは神経性胃炎だと言われ、無理して嫌いな勉強をしすぎだと自分で思い込み、ぱったりと勉強というのをやめた。それまでの蓄積で、そこそこ進学高に進めたが、成績は下がり続け、高校を卒業するころはクラス内でほぼビリだった。そのころ、表立って不良になるわけでなく、音楽を聴いて、たまにバンドで演奏して、本ばかり読んでいた。聴く音楽はSex Pistols、Clash、Suisie And Banshees、Buzzcocksなどのパンクロック、Bob Marley、Burning Spear、Aswadなどのレゲエ、Charlie MingusやJohn Coltran、Albert Ayler、Bilie Holidayのジャズ、古いロック、Roling StonesやThem、Janis Joplin、Jimi Hendrix、Mothers Of Invation、そして、DOORSは一日に一回は聞いた。。Rolling Stonesからたどっていった、古いブルーズやリズム・アンド・ブルーズ、Muddy WatersやRobert Johnson、Solomon Burk。そんなのを爆音で響かせて、親にうるさいろと叱られつつ、難しい本ばかり読んでいた。新潮文庫で出ていたドストエフスキーや三島由紀夫、川端康成、深沢七郎などはほぼ全冊読んでしまっていた。そして、中上健次らを読みまくっていた。なんて嫌なませたガキだったんだろうか。
「エレクトラ 中上健次の生涯」を読んで、暴力と性と地と血にまみれた中上健次の小説に、なぜ、あんなに惹きつけられたんどろうと思い、それが、その血なまぐさいなにかに隠された、限りないやさしさ、愛だったのかと気づいた。こんなに泣き虫で純情な人間であったことに、あらためて驚いた。また、彼が被差別部落出身であるのは今は周知のことだけど、彼の人生の立ち会った事件(兄の自殺は彼の小説の中に何度も取り上げられている)を知ると、あの誰にも描けないようなどろどろした愛憎の小説すら、その人生の上澄みのようにも思えた。
中上健次の小説だが、やはりとても難解だ。「紀州:木の国・根の国物語」あたりのエッセイから読み始めるのが良いのではなかろうか。
こんな、小説家、二度と出てこない。
この本には出てこないが、上機嫌に酔っ払って、中上健次がよく言っていた言葉。

「おれはここにいない。そして、路地はいたるところにある」

そして、死の二年前に中上健次の主催する熊野大学での「真の人間主義」と題された言葉。

「世界は危機に遭遇している。私たちの総てが破滅に向かっている。地球が壊滅しかかっている。この危機や破滅や壊滅の中に私たち、人間、共に生きてきた愛する動物、植物、この風、この空、土、水、光が永久に閉ざされ続けるのか。何かが大きく間違っていたのだ。近代と共に蔓延した科学盲信、貨幣盲信、いや近代そのものの盲信がこの大きな錯誤を導いたのだ。
私たちはここに霊地熊野から真の人間主義を提唱する。人間は裸で母の体内から生れた。純正の空気と水と、母の乳で育てられた。今一度戻ろう、母の元へ。生れたままの無垢な姿で。人間は自由であり、平等であり、愛の器である。 霊地熊野は真の人間を生み、育て、慈しみを与えてくれる所である。熊野の光。熊野の水。熊野の風。岩に耳よせ声を聞こう。たぶの木のそよぎの語る往古の物語を聞こう。
そこに熊野大学が誕生する」

昔、NHKの教育テレビで、いろんな著名人が生涯出会った本の中でもっとも好きな書物を紹介する番組があり、中上健次が番組の司会者役だったのだけど、そのテレビの最終回で中上自身が選んだ本は、サン・デグ・ジュペリの「星の王子さま」だった。テレビのスクリーンの枠の中で、はみかんだような笑みで、こういうのがやっぱ基本だと思う、と言っていたことを思い出す。
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えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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