えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ
平山周吉さんの著した『昭和天皇「よもの海」の謎』を読む。小津安二郎の監督した様々な映画の笠智衆の演ずる主人公の名前を筆名とするこの著者の『昭和天皇「よもの海」の謎』に近代、現代の日本の歴史の研究者である東京大学教授の加藤陽子さんは「歴史の黒白を見事、逆転!」と、本の帯に推薦文もあり、読んでみた次第。本の裏表紙に加藤陽子さんの文ではないけれど、このような紹介文もある。
「「よもの海みなはらからと・・・・・・」、祖父・明治天皇の大御心が表現された和歌を、昭和天皇が読むあげた。東条英機は「陛下の御心は平和にあり」と了解した。それなのに、日米開戦への道は止まらなかったー。昭和16年の苦い記憶が、昭和50年秋の昭和天皇に甦る。戦争責任を問われて、「文学方面はあまり研究していない」と答えた理由とは?」
「よもの海」の短歌とはこのような御製である。
よもの海みなはらからと思う世になど波風のたちさわぐらむ
明治天皇はこれを日露戦争の開戦のおり、この和歌を読み、泣き崩れたという。なんと明治天皇の読んだ和歌は10万首の膨大な数にのぼり、そこには日々の天皇の心が残されてるのではあるまいか?
平山さんのこの本での推論は「第八章 アメリカで甦る「よもの海」の記憶」でクライマックスを迎える。なるほどと思いつつ、ここからはぼくの想像なのだが、昭和天皇にはこの「よもの海」を逆の意味として受け取られ、開戦となった苦々しい記憶とともに、三島由紀夫の自決という記憶も生々しく、それに対しての反駁の気持ちもあったのではないか?
茨木のり子の詩「四海波静」がこの本に載せられていることにぼくは感嘆した。平山さんは「昭和天皇が、もしこの詩を目にすることがあったならば(それはほとんどありえない仮定だが)、「ことだま」の見えない力をまざまざと感じ、おののいたのではないだろうか」という。ぼくは平山さんに同意しつつ、詩を引用したい。
戦争責任を問われて
その人は言った
そういう言葉のアヤについて
文学方面はあまり研究していないので
お答えできかねます
思わず笑いが込みあげて
どす黒い笑い吐血のように
噴きあげては 止り また噴きあげる
三歳の童子だって笑い出すだろう
文学研究果さねば あばばばばとも言えないとしたら
四つの島
笑(えら)ぎに笑(えら)ぎて どよもすか
三十年に一つのとてつもないブラック・ユーモア
野ざらしのどくろさえ
カタカタカタと笑ったのに
笑殺どころか
頼朝級の野次ひとつ飛ばず
どこへ行ったか散じたか落首狂歌のスピリット
四海波静かにて
黙々の薄気味わるい群衆と
後白河以来の帝王学
無音のままに貼りついて
ことしも耳すます除夜の鐘
この詩を平成天皇と今の天皇はどこかで目にしたかもしれず、それゆえに昭和天皇いわくの明治天皇の「平和愛好の御精神」は代々と引き継がれているのだと、ぼくは信ずる。皇室の方々のもっとも嫌悪することは、その政治利用であるだろうことは明白だとも思うし、昭和天皇が時の政治の動きに異議を述べたことは二度あるといわれ、それは二二六事件の軍事クーデターの時と第二次世界大戦の終結があって、それに日米開戦時のこの「よもの海」も加わろう。東条英機らの文民の立場にあった戦犯らの靖国神社の合祀以来、皇室は靖國に参拝していない。それをとりやめた昭和天皇自身がはっきりと、それが私の心だと述べられているのだった。
『昭和天皇 「よもの海」の謎』 平山周吉
「「よもの海みなはらからと・・・・・・」、祖父・明治天皇の大御心が表現された和歌を、昭和天皇が読むあげた。東条英機は「陛下の御心は平和にあり」と了解した。それなのに、日米開戦への道は止まらなかったー。昭和16年の苦い記憶が、昭和50年秋の昭和天皇に甦る。戦争責任を問われて、「文学方面はあまり研究していない」と答えた理由とは?」
「よもの海」の短歌とはこのような御製である。
よもの海みなはらからと思う世になど波風のたちさわぐらむ
明治天皇はこれを日露戦争の開戦のおり、この和歌を読み、泣き崩れたという。なんと明治天皇の読んだ和歌は10万首の膨大な数にのぼり、そこには日々の天皇の心が残されてるのではあるまいか?
平山さんのこの本での推論は「第八章 アメリカで甦る「よもの海」の記憶」でクライマックスを迎える。なるほどと思いつつ、ここからはぼくの想像なのだが、昭和天皇にはこの「よもの海」を逆の意味として受け取られ、開戦となった苦々しい記憶とともに、三島由紀夫の自決という記憶も生々しく、それに対しての反駁の気持ちもあったのではないか?
茨木のり子の詩「四海波静」がこの本に載せられていることにぼくは感嘆した。平山さんは「昭和天皇が、もしこの詩を目にすることがあったならば(それはほとんどありえない仮定だが)、「ことだま」の見えない力をまざまざと感じ、おののいたのではないだろうか」という。ぼくは平山さんに同意しつつ、詩を引用したい。
戦争責任を問われて
その人は言った
そういう言葉のアヤについて
文学方面はあまり研究していないので
お答えできかねます
思わず笑いが込みあげて
どす黒い笑い吐血のように
噴きあげては 止り また噴きあげる
三歳の童子だって笑い出すだろう
文学研究果さねば あばばばばとも言えないとしたら
四つの島
笑(えら)ぎに笑(えら)ぎて どよもすか
三十年に一つのとてつもないブラック・ユーモア
野ざらしのどくろさえ
カタカタカタと笑ったのに
笑殺どころか
頼朝級の野次ひとつ飛ばず
どこへ行ったか散じたか落首狂歌のスピリット
四海波静かにて
黙々の薄気味わるい群衆と
後白河以来の帝王学
無音のままに貼りついて
ことしも耳すます除夜の鐘
この詩を平成天皇と今の天皇はどこかで目にしたかもしれず、それゆえに昭和天皇いわくの明治天皇の「平和愛好の御精神」は代々と引き継がれているのだと、ぼくは信ずる。皇室の方々のもっとも嫌悪することは、その政治利用であるだろうことは明白だとも思うし、昭和天皇が時の政治の動きに異議を述べたことは二度あるといわれ、それは二二六事件の軍事クーデターの時と第二次世界大戦の終結があって、それに日米開戦時のこの「よもの海」も加わろう。東条英機らの文民の立場にあった戦犯らの靖国神社の合祀以来、皇室は靖國に参拝していない。それをとりやめた昭和天皇自身がはっきりと、それが私の心だと述べられているのだった。
『昭和天皇 「よもの海」の謎』 平山周吉
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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