えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ



オンデマンドで小津安二郎監督の『浮草』を見ました。1959年の大映でのカラー映画。
二代目中村鴈次郎と妖艶な今日マチ子の凄みのある演技は文句なく惹き込まれ、その映像美に異様な何かも感じてしまう。脇をしめる杉村春子、若尾文子、川口浩も素晴らしい。物語は崩壊していく旅芸人一座の物語で、舞台を日本に翻案したジェームズ・ジョイスの中編か短編の小説かのよう。小津安二郎の芸術のもう一つの極北を見た。
これで、戦後の小津安二郎の映画をすべてを見ました。どれも素晴らしい。
今年の10月23日(月)から11月1日(水)に開催される東京国際映画祭では小津安二郎生誕120年、没後60年ということで、小津安二郎監督特集もあるらしい。大きなスクリーンで見る小津調が楽しみです。


暑い、暑いということで川崎大師こと平間寺の風鈴市に出向き、風鈴を買ったのです。わが家にベランダやまったく様にならない縁側はあるのだけれど、つるす気にならず、さてどうしたものか。
ふといつもの想像やら空想やらで、田舎に古い日本家屋の別荘を手に入れてらどうだろう。障子に廊下で、時おり風が吹き抜ける縁側に風鈴をつるす。犬と猫を飼い、一人ぼーっと庭を眺めていると、隣の家のおばあさんが西瓜を差し入れしに来てくれて、ぼくは、まっ麦茶をどうぞ、などと世間話。そして、近くに山女魚や岩魚の泳ぐ渓流もあり、朝や夕に釣りにいけども、釣れたり、釣れなかったり。
買ってきた風鈴を眺め、涼しい音を鳴らしながら、そんな別荘があったらいいなと思い浮かべて楽しんでおります。






宮崎駿監督の『君はどう生きるか』を見ました。前宣伝なしで、世間ではこの映画が公開されていることを知らない人も多いのかもしれません。宮崎監督の自伝的な内容かなと思いながら見始めると、宮崎さんの想像力は凄くて、とっちらかっている壊れた小宇宙のような、いつの間にかわけのわからない話となり、ラストは壮大なカタルシスを感じ、涙ぐんでいました。これが宮崎駿監督の最後の映画かと思うと、万感、胸にせまるものがあります。多分、酷評する人も多いと思いますが、このような議論を誘うだろう問題作を最後に残してゆく宮崎駿監督にぼくは拍手喝采をお送りしたいと思います。
君たちはどう生きるか - スタジオジブリ|STUDIO GHIBLI


ホン・サンス監督の『小説家の映画』を見ました。ストーリーのほとんどない会話劇が少しざらついたモノクローム画面に展開されています。ジム・ジャームィッシュ監督の『コーヒー・アンド・シガレット』を思い出したりしましたが、違うのは、ものすごく長いワンカットと定点に固定したカメラが独特で、シーンの中に居合わせているかのようでもあり、とても親密な感じで、見ていると緊張と心地よさの同居したようななんとも形容しがたい感覚にとらわれます。俳優たちの自然な演技は相当なものです。ふと、ホン・サンス監督も小津安二郎の後継なのだろうかなどと思いました。ラストはなぜか感動してしまいました。うー、なんと言葉で表現したらいいかわからない不思議で素敵なな映画でした。
6/30(金)公開『小説家の映画』オフィシャルサイト|ホン・サンス
