えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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最近、本をよく読むなぁ。昨日、読了したのはいとうせいこうさんの「想像ラジオ」につづく最新刊「存在しない小説」。

世界各地の存在しない作家の存在しない六編の小説を訳し、いとうせいこうさんが編集し、一篇一篇に解説がついているという本なのだが、それらのすべてはいとうせいこうさんが著している、というややこしい成り立ちの本であった。柄谷行人かリービ英雄か誰か、この本の一つの読み解きをやさしくしてくれまいか?

世界各地を舞台にしているからか、昔見たジム・ジャームッシュ監督の短編映画集「ナイト・オン・ザ・プラネット」という映画を思い出した。六編の全ての文体を使い分けつつ、「存在しない小説」というテーマを押し出してくるいとうせいこうは天才的なところがあるな。

ぼくの一番の好きなのは「あたし」と題された、クアラルンプールでチャイナタウンにまぎれこんだ少女の一人称で書かれたヒューマニティあふれる一篇なのだけれど、その他の五篇にも現代の小説ならでは想像力が横溢していて、おもしろい。








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2014年2月1日の小田急相模原スクールオブロックでかけた曲のセットリストです。一部、訳詞を載せました。

1. 村八分:どこへ行く

2. Papa Lightfoot:Wine, Woman, Whiskey

3. Jackie Brenston:Rocket "88"

4. Louis Jordan:Five Guys Named Moe

5. Dr John:Mama Roux

6. Bob Marley And the Wailers:Put It On

7. Nick Lowe:I Love the Sound Of Breaking Glass

8. The Clash:White Riot

白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で
白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で

黒人たちはいろんな問題をかかえているけれど
道の石を投げるのに躊躇はしない
白人は学校に通わされて
ばかになることを教わっている

白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で
白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で

どいつも言われたことをやっているだけで
誰も刑務所には行きたかねえのよ

白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で
白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で

なんでも買うことのできる金持ちたちがいて
おれたちは臆病でなんにもやってみようとはしない

白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で
白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で

おまえは命令する側か、される側か
後退したいのか、前進するのか

白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で
白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で

9. Simon And Garfunkle:I Am Rock

10. The Young Rascals:Groovin'

11. The Beatles:Yes It Is

12. The Rolling Stones:Congraturations

13. RC Succession:わかってもらえるさ

14. The Ronettes:Be My Baby

15. Phyllis Dillon:Perfidia

16. Carlton And the Shoes:Love Me Forever

17. Heptones:Pretty Looks Isn't All

18. Little Milton:We're Gonna Make It

家賃を払う1セントがなくても
おれたちはうまくやっていける
缶詰の豆を食う毎日でも
おれたちはうまくやっていける
仕事が見つからず
福祉施設の列に立つおれたちでも
おれにはおまえの愛があるし、おれはおまえを愛している
だからおれたちはうまくやっていける きっとそうさ

自分の家と呼べるものがなくたって
おれたちはうまくやっていける
ひとりぼっちで戦わなきゃならなくったって
おれたちはうまくやっていける
団結が平和を運んでくれるんだ
くよくよばかりもしてられないさ
おれにはおまえの愛があるし、おれはおまえを愛している
だからおれたちはうまくやっていける きっとそうさ

車は古びたぽんこつで、借家がどんなに寒くたって
おれたちはうまくやっていける
パンくずを分けあわなくならなくたって
おれたちはうまくやっていける
通りを練り歩きプラカードをかかげよう
耳の聞こえないもの、しゃべれないもの、目の見えないものを助けよ
おれにはおまえの愛があるし、おれはおまえを愛している
だからおれたちはうまくやっていける きっとそうさ

19. Roy Orbison:Blue Bayou

20. Nina Simone:Mood Indigo

21. Lionel Hampton All Stars:Stardust

http://blog.goo.ne.jp/ryusisekine
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フールズのギター弾き、川田良さんが亡くなったという。

喧嘩っ早い人だっという噂だったが、初めてぼくが川田良のギターを聴いたのは高校生の時だった。そのころ、パンク・ロックが好きだったぼくは、どこかからか日本にもパンク・ロックを演奏しているやつらがいるらしいことを知り、西新宿の海賊盤屋さんかどかで手に入れたチラシを握りしめ、ライブに友だちと出かけてみたのだった。小さいバーらしきところにアンプとドラムを並べ、暴力的な音圧でロックを演奏していた3つのバンドは、サイズとスピードと自殺。近所が通報しマッポがうるさいからというわけで、その日は3っ目のバンドの自殺で演奏中止。後で、そのバーがゲイバーというところだたらしいことを知る。その中でサイズかスピードかどちらかで、ギターを弾いていたのが川田さんであった。

今、思い返せば、サイズと自殺は村八分の後継のようなバンドであった。村八分を実際に見たことのある人に言わせると、世界で一等初めのパンクバンドは村八分だそうだ。スピードはラモーンズみたいだったな。革ジャンだし。サイズは伊藤耕が歌っていて、あのころの耕は気さくで健康的なお兄さんであった。自殺のボーカルは化粧をしていて、得体の知れない怖いチンピラって感じだった。そういう人たちを見て、不器用な自分にもロックはできるんじゃないか、と思ったわけ。

そのころからライブハウスによく行くようになって、最もたくさん見たのが川田良がギターを弾いて、伊藤耕がボーカルを取るフールズだった。決まってライブの最後では、お客さんさんがステージに流れ込んで、みんなで"Freedom"とかってわめいて、踊り狂っていた。

川田さん、八丈島の出身で、ロックを演奏しに東京に出てきて、そこで出くわした時代がパンクで、出会ったのが生涯の腐れ縁、ブルーズ・ブラザー、伊藤耕だったってわけか。まるで、ジュニア・ウェルズとバディー・ガイ、ミック・ジャガーとキース・リチャーズみたいだと思っていた。耕ちゃん、別荘から早う出てこいや。待ってます。

あぁ、今夜は川田良さんに心から合掌します。天国からギターをかき鳴らしてください。

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いわゆる在日の今では重鎮の詩人、金時鐘さんの「猪飼野詩集」が岩波文庫で出ているのを本屋で見て、即、買ってしまい読んでいる。「金時鐘」と書いて「キムシジョン」と読むのだけれど、この詩人の詩にブルーズを感じてしまう。この詩集の中の「見えない町」から引用してみます。

「どうだ、来てみないか?
もちろん 標識ってなものはありゃしない
たぐってくるのが 条件だ。
名前など
いつだったか。
寄ってたかって 消しちまった。
それで(猪飼野)は 心のうちさ。
逐われて宿った 意趣ではなく
消されて居直った 呼び名でないんだ。
とりかえようが 塗りつぶそうが
猪飼野は
イカイノさ
鼻がきかにゃ 来りゃせんよ」

ロバート・ジョンソンが歌い、幾世代にも歌い継がれてきたブルーズ・ナンバー「スウィート・ホーム・シカゴ」みたいだな、と思う。

この詩に登場する猪飼野は何であるのかと問いてみる時、ぼくがこの詩人を知ったきっかけである作家、中上健次の言う「路地」ということを思い浮かべてしまう。中上健次の口癖で有名な言葉があって、酔っ払って機嫌のいいときの中上は、路地はどこにでもある、と繰り返し言っていたそうだ。多分、路地は、ロンドンのブライトンにあり、マンハッタンのブルックリンならぬクルックリンにあり、シカゴのウェストサイドにあって、そして、猪飼野もその路地なのだ。

この詩集は、大病からの病み上がりの金時鐘さんが朝鮮総連から裏切り者、畢竟、民族虚無主義者、半組織分子の烙印を押され、猪飼野の地を追われ、結婚したての奥さんとともに引っ越しにつぐ引っ越しの放浪生活のような状態の時に書かれたのだという。その時に絶望の向こう側の詩人の言葉からブルーズマンの歌うブルーズのようなヒューマニティが輝きはじめたのではないかしら。







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ダンプの運転手の生粋の労働者階級のイギリス人と結婚し、ロンドンの郊外、ブライトンの公営住宅に居をかまえ、保育士をしておられるブレイディみかこさんの著したエッセイ集「アナキズム・イン・ザ・UK 壊れた英国とパンク保育士奮闘記」を読む。

今、英国はすごいことになっていて、イギリスの一般新聞紙、ガーディアンではそれを"Broken Britain"と呼んでいるらしいのだが、とても興味深く、いっきに読了してしまった。ルポルタージュされているのは、ロンドンでの暴動のこと、最低賃金を下げるな、との要求でのゴミ回収スタッフのストによるゴミだらけになった街、保守党政権の労働者階級への締め付け、サッチャー元首相死去時の労働者階級の町でのどんちゃん騒ぎの祝宴、東洋系、アラブ系、アフリカ系への差別、下層階級のやんちゃを通りすぎてあまりに粗暴すぎる幼児たち、Working ClassとUnder Class、未婚の十代の母たち、もういろいろ。救いにない話の中に人間の善が瞬間に輝き、そんな時の筆致に、無表情なごみどもの集まりのような小田急線の電車の中で読んでいて、目頭が熱くなったことが何度もある。

ロンドンはなんだかんだでなんと自由なんだろう。ドイツ人のカール・マルクスはロンドンで執筆活動を続ける理由を尋ねられて、ここが世界で一番、自由にものが考えられて、自由に発表できる場所だからだ、と答えたという。今でもそうなのかもしれない。奇っ怪なオブラートに包まれたかのようなこの日本の空気の中にいて、そう思ってしまう。けれど、日本も少し変わってきたようだ。

ローリング・ストーンズやクラッシュは金持ち貴族の左翼趣味であったのだろうか? 本当の労働者階級、下層の飢えたガキどもの歌はビートルズやセックス・ピストルなのかもしれない。おれはどっちも好きだが、ブレイディみかこさんは断然ピストルズだと言う。その彼女の"God Save the Queen"の訳を引用して、ブリティッシュ・ロック・ファンと自由を求むすべての人にこの本を強力にプッシュします。

「神よ、女王陛下を守り給え。
なんつったって、観光客はマネーだからな。
俺らの君主様は
イメージとは違うんだけどよ。

神よ、歴史を守り給え。
あいつらのキチガイじみたパレードを。
おお神よ、どうかご慈悲を。
全ての犯罪は償われたのだ。

未来が無い時に、
罪なんてあるわきゃねえだろ。
俺たちは花々だ。ゴミ箱の中の。
俺たちは毒だ。あんたの人間機械の中の
俺たちが未来だ。
君たちが未来なんだ」

ブレイディみかこさんのブログ
http://blog.livedoor.jp/mikako0607jp/





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子どもたちのヒーロー「アンパンマン」で有名なやなせたかしさんの自伝「アンパンマンの遺書」を読了した。走馬灯のように昭和を細く長く生き、昨年、逝ってしまったやなせさんの序破急の人生を読んで、なんて長い序なのだろう、と思った。その細い序の糸はなんとも長く曲がりくねってもいたけれど、一度もこんがらがることはなっかったんだね。おしまいの方に書かれていた奥様とのエピソードにぼくの胸はきゅんとしました。






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ぼくの大好きなフォーク・シンガー、友部正人さんのホームページを見ていたら、友部さんが生涯、見た映画の中でも5本の指に入ると書いてあったマルガレーテ・フォン・トロッタ監督の「ハンナ・アーレント」を横浜黄金町の映画館「ジャック&ベティー」に見に行った。

何かとても考えさせられるような、そして、そこから勇気をもらうようないい映画だった。

ハンナ・アーレントという政治哲学者と彼女がザ・ニューヨーカー誌に寄稿した「イェルサレムのアイヒマン―悪の陳腐さについての報告」の引き起こした筆禍事件を主軸にして、第二次世界大戦のユダヤ人ホロコーストを生きのびた孤高のペンだけを武器にして戦う強い女性が、描かれている。

さて、その呵責なき論考で筆禍を引き起こした「イェルサレムのアイヒマン―悪の陳腐さについての報告」の中のアイヒマンとは誰か? 国家社会主義ドイツ労働者党、いわゆるナチスの親衛隊の幹部でありユダヤ人ホロコーストの最高責任者のアドルフ・アイヒマンが戦後の1960年に逃亡先のアルゼンチンでイスラエルの諜報機関、モサドに捕らえられる。この映画の中で、そこだけは実写のモノクロームでドキュメンタリーのまま、描かれるのだけど、そのイェルサレムでの裁判のシーンは気分が悪くなるほどのリアルなのだった。そのアイヒマンをアーレントは「悪の陳腐さ」と書いたのだけど、ぼくが連想したのは、20世紀末の日本でのオーム真理教の悪の陳腐さ、今世紀になってからの身近な日本の民主党や自由民主党、新聞、テレビ、電力会社、その他の会社組織、労働組合、ありとあらゆるところに巣をはる悪の陳腐さなのであった。翻っていえば、ぼくには、答えは見つからず、まだ探索中で、提出しなかった宿題が忘れたころに、追ってくるようなのだ。それは何なのだろう?

映画にもどり、このニュー・ジャーマン・シネマの気鋭女流監督の撮り上げた「ハンナ・アーレント」は、武器も持たずに戦う今の日本の女性たちにエールを送る、そんな映画のようでもあるようなのだ。そして、こんなにたくさん煙草を吸うシーンが出てくる映画は初めて見た。煙草を吸う姿がかっこいいハンナでもありまする。

http://www.cetera.co.jp/h_arendt/
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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