えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ
また、うらたんざわ渓流釣場でフライフィッシングをしました。
もう竿をしまおうかなと思った時に、強い引き。ぼくは竿を立てたり、フライラインをたぐったりて数分間、魚との綱引きをしていました。魚が見えるとかなり大きい精悍な虹鱒で、ぼくのランディングネット、リス捕りあみ(フライフィッシングをする人のための網で人気商品)に入るか入らないかの大きさで、リス捕りあみは長い方の内径が28センチなので、この虹鱒は尺越えではないか。
やっと取り込み、いつものように針をはずそうと片手でフォーセップ(フライフィッシングで使うハサミみたいな針はずし器)に手をかけ、リス捕りあみの手をゆるめた瞬間、虹鱒はリス捕りあみごとバサッと身をひるがえし、バーブレス(魚をリリースするために針の返しをつぶしている)にした針をはずし、逃げでいました。
ぼくはつり上げる時、心のどこかで、魚が針をはずして逃げてしまえばいい、といつも思っていたりします。では、なぜ、フライフィッシングをしているのか? 野山を歩くのが好きだというのもあるし、フライフィッシングというなかなか釣れない釣りで、釣れた時、魚の命のぷるぷる、ぶるぶるがフライラインを通して直に伝わってくるようで、そのドキドキが嬉しくもあるのです。
そして、魚を放つ。お魚さん、さようなら。たっしゃでな。また、会う日まで。魚が泳ぎ去っていくのを見るその数秒がなぜか大好きです。おいらっておかしなやつかい?
(で、写真は家に持ち帰った魚のいないリス捕りあみに、いつか、人のいない山奥の渓流で釣りをする時、持っていこうと夢見ているクマよけ鈴なのです。)
ブレィディみかこさんの著した『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』を読みました。ベストセラーとなった『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の中で、みかこさんの中学生の息子さんが授業で「エンパシー」とは何ですか、と先生に訊かれ、他者の靴を履くこと、と答え、たくさんの読者から「エンパシー」とは何ですか、と話をされ、この本を書いたものこと。
このエンパシーとは、他者への共感や同情を表すシンパシーとは違い、他者の考えや感情を想像する、ということらしい。
さて、『他者の靴を履く』によれば、1980年代のイギリスの首相、マーガレット・サッチャーは、今は、まったく評価されず、イギリスに長い混迷をもたらした人といわれているという。曰く、サッチャーには身近な人、自分の近くで働く人たちへのシンパシーはあったが、エンパシーはまったくなかった。
今の保守党の党首であり、サッチャーの治世から30年後のイギリスの首相である、ボリス・ジョンソンですらサッチャーには批判的で、その同時代に、就任演説で「自助、共助、公助」などと唱える日本の今の首相はどうだろう? 自助でウィルスから防疫できるのかい? 欧米では次の100年を決める絶対に負けられない戦争だと思って、政府は財政出動しているきらいもある。
などと、ぼやきのような抗議をしつつ、この本で久しぶりに大江健三郎の哲学を教え、大江が尊敬してやまない渡辺一夫の文章が引用されているのを読んだ。アナーキーとエンパシーが接合して問いを発するのは、このあたりだろうかと思い、はっと大切な何かを思い出したような気がし、その文の引用をします。
「渡辺は、「過去の歴史を見ても、我々の周囲に展開される現実を眺めても、寛容が自らを守るために、不寛容を打倒すると称して、不寛容になった実例をしばしば見出すことができる」と書き、これは悲しくも呪わしい「人間的事実の発生」だと嘆いている。そして、契約や法は、人間が弱肉強食を浄化し、死闘の悲惨から前進する意志をもって作ったものだが、嘘をついたり、人を殺したりしてはいけないという契約と同じように、寛容が不寛容に対して不寛容になってはならないという新たな契約が必要だとまで書いている。渡辺は当時の「人間的事実の発生」によっぽどうんざりしていたのだろう。」
この後にさらに今の日本、世界に向けての渡辺一夫を枕にした、人のヒューマンティを鋭く説く文章はつづくのだけれど、それはこの本を買うか、立ち読みするか、図書館で取り寄せてもらってください。このなかば忘れ去られている渡辺一夫の本を再読したくなりました。
昼過ぎには帰ろうと思っていたのですが、夕方前の五時すぎまで、うらたんざわ渓流釣場にいてしまいました。
こんなことがありました。このうらたんざわ渓流釣場に来ると、必ずおられ、お会いする親子がおります。お父さんと女の子。そのお二人の後ろの方を釣竿を持って歩いていると、お父さんのこんな声が聞こえました。いつもお父さんの近くにいなくてもいいんだよ。好きにどこでも、したいところで釣りをしていいんだよ。お父さんの自由と自立を育むようなその言葉は素晴らしいけれど、ぼくは女の子の心の内の声が聞こえたような気がして、お父さんにそっとこんなことを耳うちしたい、と思っていたのです。お嬢ちゃんは大好きな父ちゃんと一緒に釣りがしたいんだよ、と。
お昼ごろにカップラーメンを食べようと休憩所に行きました。休憩所にはお湯のポットと電子レンジがあり、持ってきたお弁当を温めたり、カップラーメンを作ったりできます。そこにさっきの親子がおられ、お父さんは他の釣り人と話をしておられます。お父さんはこんなのことをおっしゃっておられました。この子は天才だよ、さっきの天気雨の時に入れ食いで、連続して十五匹、釣りあげたんだよ、と。釣り人は答えます。そりゃすごいね、おれなんか今日はまだ一匹だ、と。女の子はそれを黙って、ニコニコしながら聞いております。天気雨の中、つきつぎと釣りあげていく女の子の姿が目に浮かぶかのようです。お父さんと釣りをしに来て、夏の日のいい思い出ができましたね。
うらたんざわ渓流釣場 【公式サイト】
朝の七時前に家を出て、夜の十一時すぎに家に帰ってくるという近ごろの生活のぼくは働きすぎではあるまいか? ぼくに仕事の指示を出すぼくよりも若い人は今日も出勤しているころで、ぼくは休日出勤を用があるなどと言って、断ってしまった。実際に、歯医者の予約とか、前々から入っていた弾き語りのライブとか、用はあるのです。
いまごろになって、自分の仕事が仕事ではなく、今の言葉ならブルシットジョブ(Bullshit Jobs=クソどうでもいい仕事)な作業とか労働だとも思ったりする。
こうしているうちにも、どうしても明日、会社に出てきてくれ、などとスマホのかかってきそうで、せっかくの梅雨の間の夏日なのに、気は晴れず、疲れは取れません。
で、明後日に月曜日はやってきます。こういう時にもブルースだと、Bobby Blue Blandの歌うT-Bone Walkerの名曲"Stormy Monday Blues"を聴く。Wayne Bennettのこのギター、最高!
いまごろになって、自分の仕事が仕事ではなく、今の言葉ならブルシットジョブ(Bullshit Jobs=クソどうでもいい仕事)な作業とか労働だとも思ったりする。
こうしているうちにも、どうしても明日、会社に出てきてくれ、などとスマホのかかってきそうで、せっかくの梅雨の間の夏日なのに、気は晴れず、疲れは取れません。
で、明後日に月曜日はやってきます。こういう時にもブルースだと、Bobby Blue Blandの歌うT-Bone Walkerの名曲"Stormy Monday Blues"を聴く。Wayne Bennettのこのギター、最高!
オリンピックは無観客で開催されるそうです。それもいいだろう。ぼくは昔からある日本の祭りは好きなのだけど、オリンピックという西洋起源の近代の祭りは、巨大な暴力のブルトーザーであらゆるよき古きものをなぎ倒し、風景どころか、人の心も変えてしまう、そんな嫌な何かがあるのもずっと感じていた。金子みすゞの「大漁」を思い出し、これを挽歌として小さな声でくちずさみ、終わってゆくオリンピックという祭りに献花したいと思います。
♪♪♪
朝焼け小焼けだ大漁だ
オオバいわしの大漁だ
浜は祭りのようだけど
海の中では何万の
いわしの弔いするだろう♪♪♪
♪♪♪
朝焼け小焼けだ大漁だ
オオバいわしの大漁だ
浜は祭りのようだけど
海の中では何万の
いわしの弔いするだろう♪♪♪
この前、うらたんざわ渓流釣場で釣りをして、ぼくの毛鉤にかかった魚が人の背丈以上もの高さを跳ねたのを見た。フライラインをたぐって魚をよせながら、胸がどきどきしつつ、ぼくは、心のどこかで、魚が毛鉤をはずし、逃げてしまえばいいのに、と思っていたし、せっかくかかった魚を一目、見たい、とも思っていた。
そのジャンプした魚は、返しをつぶし、バーブレスにした針をはずし、逃げてしまい、会うことはかなわなかったけれど、それでもいいのです。
フライラインとリーダーとティペットと毛鉤を結び、一本の細い線となり、縁はぼくと水の中の生きものを出会わせる。釣れても、ぼくは釣れた魚の毛鉤をはずす。そして、ぼくは心の中で何かの別れの言葉を口ずさみ、魚は泳いでいく。水の中を逃げさっていく魚を見るのが好きなのです。
ある時、放した魚は、めずらしくも、なぜか遠くまで行かなかった。釣りをしているぼくの近くの見えるところの水の中で、そこから離れなかった。なにやら静かに、穏やかに涼んでいるようでもありました。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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