えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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「パレスチナ・デイ」というパレスチナ支援のためのバザーがあるというので、東京ジャミイに行ってみた。東京ジャミイとは、東北沢の駅から見えるイスラム寺院、モスク。イスラム教徒らしき人たちが尖塔の建物に吸い込まれていく。ぼくもその建物に入ると、たくさんの人でごったがえしていて、イスラムの人たちの近所の寄り合いのようであった。ぼくはパレスチナ支援の寄付をし、一枚の手縫いのスカーフを買う。そして、階段を上がると中庭のようになっていて、食事の出店でお茶やハラールの料理が売られており、礼拝所の入り口が見える。そこから靴を脱いで入ると、あたり一面幾何学模様が美しく、清く凛としていて、荘厳でもある。そこで、子どもたちが遊んで駆け回っている。そのかたわらで数人の男たちがメッカに向かって礼拝をしている。その光景を見て、ぼくの目頭に熱いものがこみあげてくる。ただ、平和を祈るのみ。

帰りに地元の相模大野のユニコムプラザで相模原市在住の画家、上條陽子さんが主宰されておられる「壁の中の子どもたち展」に行ってみる。ありし日の瓦礫とされる前のガザの子どもたちの描いた絵に胸がふたがれる思い。残酷な爆撃がやみ、平和が訪れるのを祈るのみ。
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ヴィム・ヴェンダーズ監督の『PERFECT DAYS』を見ました。ヴィム・ヴェンダーズ監督以外、協同脚本を含めて多くの日本人スタッフによる映画は、エキゾチックに流されずに、ありのままの今の東京をとらまえているように思いました。それにトイレ清掃員を演ずる役所広司さんがとてもいい。トイレ清掃員の人生が淡々と流れていくけれど、それが美しい。役所広司さんはこの映画でカンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞しています。脇役の抑えた演技も素晴らしい。石川さゆりさんが小料理屋のママを演じていたりしていて、ブルースの名曲「朝日楼」を歌ってくれています。

役所広司さんの演ずる主役の清掃員の名前が「平山」で、これはヴィムが勝手に師匠としているという小津安二郎監督の映画の中で笠智衆の演ずる娘を嫁に出す父親の名前「平山周吉」からとられているのではないか、という発見もうれしい。そして、映画もおしまいになり、映画館から出て、いつもの街を歩いていると、その街が愛おしいような、いつもの街と違った街に見えたりしました。ふと、映画のいろんなシーンも思い浮かばれ、目頭が熱くなります。あー、東京を舞台にヴィム・ヴェンダーズの映画が帰ってきたんだ。

PERFECT DAYS 公式サイト
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『大人の遠足BOOK 駅からウォーキング 関東』の「多摩森林科学園と多摩御陵」をたよりに散歩しました。多摩御陵こと武蔵陵墓地には大正天皇、その妃の貞明皇后、昭和天皇、その妃の香淳皇后が葬られ、祀られておられるということです。最近、作家で昭和史研究科の平松周吉さんの本『小津安二郎』で小津安二郎監督の『東京物語』の主人公の夫婦は行幸される民間の天皇陛下と皇后陛下であるのかもしれないという説にぼくは驚き、なぜか首肯してしまいます。近頃は天皇に祀らう元号などは廃止すべきだという意見もありますが、国歌も歌わず、国旗も掲揚しないぼくですが、元号は残すべきだとも思っています。国歌も国旗の日本らしく感じませんが、元号は日本らしい。合理性とかなんとかで伝統は絶やすべきではなく、しかれども、国家も国旗も伝統ではないように思えてしまうのです。日本をお守りください。さて、多摩御陵は広く、静かで、数人の人と、数人の警察官が歩いているのみでした。この散歩で読んだ俳句が三つ。

 落葉無き玉砂利の道風清む

 冬杉の森の陵墓に頭垂れ(頭:こうべ)

 一本の寒椿青い空の下
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フィンランドの名匠、アキ・カウリスマキ監督が映画の力を再び信じて、引退宣言を撤回して、帰ってきたようなのです。カウリスマキ監督の『枯れ葉』を見ました。アキ・カウリスマキ監督は、引退の最中、おれはやはり、尊敬する小津安二郎の何分の一も映画を撮れていないと自分を嘆き、『枯れ葉』の男の主人公のごとく、飲んだくれていたのかもしれません。

映画の舞台はラジオからロシアがウクライナに侵略し、病院を爆撃しているというニュースの流れるヘルシンキの町で、犬を連れた女の主人公は映画そのもののアナロジーかもしれないのは、ここでは明かすことのできない最後のセリフがあるからなのです。アキ・カウリスマキ監督のこの映画についての弁。

「取るに足らないバイオレンス映画を作っては自分の評価を怪しくしてきた私ですが、無意味でバカげた犯罪である戦争の全てに嫌気がさして、ついに人類に未来をもたらすかもしれないテーマ、すなわち愛を求める心、連帯、希望、そして他人や自然といった全ての生きるものと死んだものへの敬意、そんなことを物語として描くことにしました。それこそが語るに足るものだという前提で。

 この映画では、我が家の神様、ブレッソン、小津、チャップリンへ、私のいささか小さな帽子を脱いでささやかな敬意を捧げてみました。しかしそれが無残にも失敗したのは全てが私の責任です。」

アキ・カウリスマキさん、戻ってきてくれて、ありがとう。

映画『枯れ葉』公式サイト
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中堅のぼくの大好きなもっともあぶらの乗りきった二人の咄家、春風亭一之輔師匠と古今亭文菊師匠が出演するというので、上野の鈴本演芸場に馳せ参じました。

寄席が始まり、しばらくして、三味線と浮世節の立花家橘之助姉さんの後の桃月庵白酒師匠の「代書」あたりから笑いのグルーヴに会場はつつまれはじめておりました。そして、中入りにはいり、再び幕が上がり、ニックスの姉さん二人の漫才の後、江戸衆の呑気で純朴な笑いの世界に突入してゆきます。古今亭文菊師匠の「親子酒」、春風亭一朝師匠の「湯屋番」の定番に笑い、林家楽一師匠の紙切りでほんわかして、春風亭一之輔師匠の「富久」でめでたくしまいとなりました。「富久」で大笑いながら、その噺にちなんで、おいらも年末宝くじかなんか、当たるといいなとかって思ってしまいます。嫌なことばかりの世の中ではありますが、落語は残された心のオアシスです。
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伊豆半島をドライブして旅をしました。伊豆長岡の韮山反射炉、修善寺、いつもの夕日の町、松崎。松崎町では奇麗な夕日が見れませんでしたが、この静けさに心洗われますな。読んだ俳句が五つ。

 分離体続くよ続く寒椿

 反射炉は冬徳川家夢始末(徳川家:とくせんけ)

 冬の午後いつも松崎静かなり

 曇り空見えぬ夕日に冬惜しむ

 木枯しの吹かぬ鈴の音夢なのか(音:ね)

修善寺で御神籤をひいたら、大吉でした。

「運勢大吉

 災害は自然に去り、よい事があつまります。
 目上の人の助けによって喜びごとはふえます。
 おこないは正しくすることです。
 
 第11番
 おみくじ
 
  「言」
 もし、真の自由を求めようとするならば、
 心中の奴隷をとりのけることから、はじめねばならぬ。」

ゆめゆめうたがふことなかれ
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東京国際映画祭で見逃した小津安二郎監督の『風の中の牝雞』を渋谷のルシネマで見ました。

1948年制作のこの映画での東京の景色を見ながら、ぼくは、日本は東京や神戸、ありとあらゆるところに雨霰と爆弾をアメリカに落とされ、ついには、広島と長崎に原子爆弾まで落とされて負けたんだと思う。小津自身、失敗作と認めたこの映画は、没後、評価を高め、『スパイの妻』の監督、黒沢清さんは、小津映画の最高傑作だと評価していました。この『風の中の牝雞』の後、小津安二郎は日本に回帰してゆき、『晩春』を撮ることになるのは、ぼくは痛いほど分かる。佐藤忠夫のこの映画についての批評を引用します。

「「敗戦で日本人は娼婦のごときものとなった、しかしそれでも、空き地で弁当を食べる素朴さは保持しようではないか」というのが本作に込められたメッセージである」

ジョーン・メレンの批評も引用したい。メレンは田中絹代の演ずる時子が守ろうとした子どもの名前の「ヒロ」が天皇の名前と同じであることは偶然ではないとし、以下の説をとなえる。

「彼女は日本人の生活のすぐれた点を守るために身を売ったのである。小津は日本人に向かって、すぐれた点、つまり占領によって汚されることのないと彼が信じる日本人の生活の貴重なものを守るために、新しい社会を受け入れるべきだと語っている」

翌年、無声映画の時代から映画を撮り続けてきたある日本の映画監督によって、フィルムという武器のみで、文化という血をめぐる戦い、日米映画決戦が挑まれる。それは、小津安二郎監督の紀子三部作を含む『晩春』、『宗方姉妹』、『麦秋』、『東京物語』。

さて、1ヶ月以上続いたぼくの小津映画を劇場で見る祭りももうおしまい。残業をしない小津組の監督の午後5時の言葉が聞こえてきそうです。

「これからはミルクの時間だよ」
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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