えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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真藤順丈さんの著したこの前の直木賞受賞作『宝島』を読了しました。541頁にも及ぶ第二次世界大戦後のアメリカ占領下の沖縄を舞台にした物語。

20年間に及ぶこの群像劇の小説の力によって底辺からの沖縄現代史を感じることもできたように思います。

文体が46歳で夭折した中上健次の晩年の大作『異族』をより豊かにしたようで、そこにも惹きつけられ、長編を読みおおせたのです。

いろんな錯綜する物語の糸がほぐれつつ、さらなる問いをなげかえるようなフィナーレの「第三章 センカアギヤーに帰還 1965-1962」の後半には感動し、泣いてしまいました。長編の小説を読む物語の愉悦とはこういうことをいうのだと思います。

沖縄に基地のない平和を。

真藤順丈さん、直木賞受賞、おめでとうございます。

『宝島』(真藤 順丈)|講談社BOOK倶楽部

真藤順丈さん『宝島』 | 小説丸

『宝島』——真藤順丈が - 現代ビジネス





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ブルース・スピーゲル監督のドキュメンタリー映画「ビル・エヴァンス タイム・リメンバード」を見た。ジャズ・ピアニストのビル・エヴァンスの生涯を残された動画や写真、本人を含むいろんな人たちの証言から描いていた。

生涯、逃れられなかった薬物依存、いくつかの恋、そして、音楽の人生。その音楽は本当に美しい。余計なものを何も足さず、必要なものを何も引かず、そんなビルのピアノの音楽に、ぼくは、仏教の禅を思い出してしまう。だから、その美しさは真実ということなのだろうか? 麻薬は、彼の人生に余計なものだったのだと、ぼくは映画を見ながら思い、そのぎりぎりの美の探求が、彼をそれに向かわせ、彼の人生をもついに奪ってしまい、それはやはり悲しいことだとも思う。もしかして、ビルが東海岸に向かい、そこで日本の禅に出会っていたら、もっと長く生き、美しい音楽をさらに奏でていたかもしれないと想像し、もしかして、その生涯にわたって、彼自身の希死願望に彼は苦しんでいたのかもしれないとも想像する。ビル・エヴァンスの美しいピアノの音楽は常に憂いを含んでいるのです。

映画『ビル・エヴァンス タイム・リメンバード』公式サイト
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この前、偶然、初めて小田急線のロマンスカーの展望室の先頭に乗りました。おー、ゲームの「電車でGO!!」みたいです。おもしろかった。スマホでムービーを撮りました。これは「ロマンスカーでGO!!」と名付けます。聞こえてくる子どもの声は、通路越しの向こうにに乗っていたお母さんと男の子でいい風情です。お楽しみください。

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こんな夢を見た。ぼくはどこかの小学校にある会社に務めていて、今日が退社日らしい。そこに持ち込み、置いてある荷物の整理をしている。たくさんのアウトドア用品が、机と椅子のかたしてある教室にならべられる。こんなたくさんの荷物を手で持って帰るのなんてできないと思い、姿の見えない上司に、家に帰って車に乗ってきていいかと尋ねる。上司はここは小学校だから、車は乗ってこれないと答える。ぼくは、ほとんどの荷物をここに置いていかなくてはならないのかと思う。小学校での最後の日だから、ぼくはほかの教室に行ってみる。大きな教室にたくさんの五才ぐらいの男の子、女の子が遊んでいて、そんな教室がいくつもある。ぼくは、もといた教室に戻り、荷物の整理をつづけていると、三々五々、同じ職場で働いていた人が、さよならと挨拶をして、帰っていく。もう、みんなとも会えないのかと思い、少し淋しく感じる。ふと教室の窓から外を見ると、海に真っ赤な夕焼けがひろがっていて、海の向こうに小さく寺が浮かんでいる。

そこで目が覚めた。目が覚めると、ぼくは、ぼんやりと南紀、那智の補陀落渡海ということを思い出していた。浄土を夢見て、海の向こうに小さな舟で漕ぎ出す僧侶たちのことです。
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東京国立博物館へ特別展「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」を見に行ってまいりました。

東寺では毎年元旦から七日まで高僧のみ立ち入りを許された灌頂儀礼が行われているということで、その儀礼の厳かな部屋が第一の展示室で再現されていて、それを見た時に、そこに神聖な美しい霊気が立ち上っているように感じ、鳥肌が立ってきた。

次の展示室で巨大な曼荼羅が飾られていて、空海が言うように言葉では表しがたい世界なのだ。昔、高野山を訪れた時にお坊さんが語っていたのだけど、曼荼羅の真ん中におはす大きな御仏は偉く、周りにおわす小さな御仏はそれよりも偉くないといことではなく、曼荼羅に表わされた小さな獣や鳥、花や草までもが、すべて等しく輝いているのだと思う。この大きな曼荼羅に表わされた絶妙、霊妙なバランス。素晴らしいです。


そして、浄土に幾人もの覚者の立つ林の中を歩くかのような立体曼荼羅なのであった。

今回、見た曼荼羅図は胎蔵界で、展示替えしたら、金剛界を再び見に来たいな。6月2日まで開催中です。

特別展「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」
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バリー・ジェンキンス監督の「ビール・ストリートの恋人たち」を見た。これで「グリーンブック」、「ブラック・クランズマン」と合わせて、近頃、公開された黒人への差別を扱った評判の映画を見たということになる。どれも面白かったのだけれども、これらの3本の映画の中でもっとも重苦しく、そして、もっとも美しかった。

ストーリーは、無実の罪で逮捕された黒人青年とその恋人、若い二人をめぐる中々進展しない静かなホーム・ドラマで、ローアングル、ローポジションや会話の時のカットバックなど、小津安二郎の松竹映画を思い出させる。悲劇を扱いながら、音楽的な美しく静かな名作。バックでかかるニーナ・シモンのジャズも素晴らしい。

さて、原作のジェームズ・ボルドウィンはぼくが高校生の頃の大好きな作家で、新潮文庫で出ていた「もう一つの国」は何度も読んだ。この「ビール・ストリートの恋人たち」の原題は"If Beale Street Could Talk"で小説では「ビ―ル・ストリートに口あらば」と訳され、それは「ビ―ル・ストリートが話をできたなら」というような意味なのだけど、この映画の舞台はニューヨークのマンハッタンで、舞台としてのビ―ル・ストリートは一度も登場しない。そこはジャズの生まれたニューオーリンズにある通りで、すべてのアメリカの黒人の故郷であったところ、と映画の題辞、エピグラフとして語られ、ムーディーな恋人の映画に更にずしりと重たいメッセージを発信してもいる。ジェームズ・ボルドウィンのたくさん小説群も再読してみたい。

スパイク・リーはもうまどうことなき巨匠で、このバリー・ジェンキンスは次の次の世代だろうか、すごい映画監督が登場したものだ。

そして、ヒロイン役を演じるキキ・レインの笑顔がまぶしいです。

映画『ビール・ストリートの恋人たち』公式サイト - ロングライド
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信州の上田市の山に連なる小高い小さな高原の森の中に私設の「無言館」という美術館があって、前の大戦の戦没画学生の絵ばかりを集めている。そこに訪れたことを「無言館と傷ついた画布のドーム」に書きました。

その美術館で買った本、「無言館」の館長であられる窪島誠一郎さんの著し、編纂した『「無言館」の青春』を読みました。「無言館」のすぐ近くにある「傷ついた画布のドーム」にだれでも感想を書いていいノートが置かれていて、そのノートにぼくも訪れた時、短い感想文を書いたのだけれども、『「無言館」の青春』にはそのノートの書かれた若い人の文が収められ、何冊も本を出されておられる著名な文筆家である窪島さんも文を書いておられます。

この本を読みながら、「無言館」のぼくをどうしても惹きつけてしまう魅力は、そこが戦争の記憶をとどめさせ、平和を祈念する美術館であるととに、青春の美術館であることだということに気づきました。青春の真っただ中にいた絵を描く若者は、みんな、死んでしまい、絵だけは青春のままであるかのようなのです。そうか、ぼくは時計のねじを逆に回し、青春の真っただ中にいて、戦争で亡くなった若者に会いに行ったようなのです。そして、絵の中には、戦争はあってなかったかのようでもあったのです。

旅から戻り、ぼくは『「無言館」の青春』を読みながら、そのようなことをしみじみと噛みしめておりました。



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プロフィール
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えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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